2017年5月30日 (火)

赤ちゃんポスト

 平成19年5月10日に熊本市の慈恵病院で始まった「こうのとりゆりかご」の事業、いわゆる「赤ちゃんポスト」から10年が経ちました。5月9日のNHKラジオ「先読み!夕方ニュース」では、慈恵病院理事長の蓮田太二さんが赤ちゃんポストの10年間の取り組みと、千葉経済大学 短期大学部・准教授の柏木恭典さんの海外の赤ちゃんポストの話がありました。
 日本では赤ちゃんポストは熊本に1か所しかありません。海外ではドイツでは約100か所、オーストリアで15か所、その他にはスイス、イタリア、チェコ、ポーランド、韓国にあります。ヨーロッパのキリスト教圏では中絶を良しとしない文化があるため、望まない妊娠に母親が悩む「妊娠葛藤」が強く、それに寄り添うため、またそのような妊婦へ光が当たるようになり赤ちゃんポストが広がったようです。
 そしてドイツでは赤ちゃんポストだけでは、自宅出産や車中出産を防ぐことはできないため、匿名出産が制度化されました。これは母親が自分の名前は言わなくてよいので出産のために病院に来てよいとする制度です。その結果赤ちゃんポストだけではできない母体の妊娠出産に伴う健康面のケアが可能になりました。
 また内密出産という制度もつくられました。これは16年間は母親の名前は伏せるが、その後に子どもが自分の出自を知りたくなったら母親の名を開示する制度です。母の匿名性と子の出自を知る権利のために考え出されたようです。
 海外では赤ちゃんポスト、匿名出産、内密出産が国会で議論し国の制度として作られています。
 どうしても望まぬ出産は防げません。その時に赤ちゃんと母親に寄り添い手助け助けするために、赤ちゃんポストが生まれ、匿名出産や内密出産の制度がつくられました。日本でも世間の理解と前向きな議論が進むことが望まれます。

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2012年7月30日 (月)

妊娠と薬情報センター

 妊娠可能な女性の中には自らの病気のために薬を飲み続けなければいけない人がいます。薬の副反応を恐れて、または医師から言われて妊娠をあきらめてしまった例もあります。
 しかし本当に妊娠しない方がよい薬は非常に限られています。処方している医師も本当に根拠をもって指導しているのは少ないのではないでしょうか。
 また日本の薬のほとんどは厚生労働省の指導で、新婦に対する安全性は確立していないと添付文書に明記されています。このように書かれたら、医師も妊娠の安全性はますます言えなくなってしまいます。これも実は根拠のない文章で、妊婦に対する公式な臨床試験が出来ていない薬はすべてこういう添付文書になっています。
 本当に胎児に対する薬の安全性があるのかどうか、海外の信頼できる多数の論文を網羅して、一人一人のケースに答えてくれる医療機関が日本に増えてきました。その中心が東京の国立成育医療研究センターの妊娠と薬の情報センターです。
 ホームページは http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html
 九州でも九州大学病院と鹿児島市立病院が拠点病院となり相談ができるようになりました。九州大学病院では「妊娠と薬外来」を設けています。ただし相談は有料です。

南山堂から書籍も出ています。
薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳 2010年
 トロント小児病院/トロント大学 伊藤真也 編集
 国立成育医療研究センター/妊娠と薬情報センター 村島温子 編集

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2010年10月31日 (日)

ぐりとぐら

10月24日(日)朝10時からのFMラジオ「メロディアスライブラリー」を聞いていたら「ぐりとぐら」が取り上げられていました。
料理をすることと食べることが大好きな野ねずみのぐりとぐらが森へ出かけ、大きなカステラを作り、森の動物たちにご馳走する話です。
誰でも知っているこの絵本について番組のパーソナリティーである小川洋子氏がお話をしていました。
その中で私も改めて認識したことが多々ありました。
まず、青い服を着ているのがぐり、赤い服を着ているのがぐらです。
そしてぐりとぐらは、ねずみではなく野ねずみでした。
作者の中川李枝子氏と大村百合子氏は姉妹でした。
1962年の二人のデビュー作である「いやいやえん」に感銘したのが、ジブリの宮﨑駿氏で、それが縁で中川李枝子氏は映画「となりのトトロ」の中のオープニングテーマ「さんぽ」や「まいご」等の作詞をしています。
他にも童謡として長年親しまれている「げんこつやまのたぬきさん」の作詞を手がけています。
1963年に刊行されたぐりとぐらは版を重ね、2010年10月1日の版では実に第183刷となっています。
空前のベストセラーですね。
ところでカステラつくりに使った大きな卵の残った殻をぐりとぐらはどうしたのでしょうか。
思い出してみてください。

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2010年8月31日 (火)

5歳児健診

 8月18日22時からのNHKラジオ第一放送「NHKジャーナル」で東京都で5月から始まった5歳児健診の話がありました。
 自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害などのこどもの発達障害はいずれも脳の機能の問題とされ、早く障害に気付いて障害に合わせた支援をおこなうことが必要です。その障害の発見の場の一つが健診です。発達障害は3歳を過ぎてから表面化することが多く、その理由はは3歳を過ぎると幼稚園や保育園に通う子が多くなりますが、その中で友達と上手くかかわることができないとか、落ち着いて教室の中にいられないとか、それまでの親子の間だけではわからなかった発達障害を疑わせる行動が明らかになってくるからです。
 ところが今の健診の制度では、3歳児健診の次は小学校入学前の就学時健診になるためおよそ3年ほど定期健診がありません。そのため発達障害を疑わせるような行動が表面化する時期に定期健診がなく発見が遅れるケースがでてきます。このため東京都医師会ではこうした空白の期間に健診をおこなうことで障害の早期発見と支援につなげようと考えたわけです。
 東京都の5歳児健診は集団検診ではなく地域の医療機関でおこないます。しかし普段発達障害の診断になれていない医師も多くいます。そこで医師会では適切に診断できるように、独自のチェックリストをつくりこれを診断で活用しています。チェックリストと母親からの普段の様子などを聞き取って総合的に判断して発達障害の疑いがあるかどうかを調べています。そして疑いがあるとなれば、発達障害の専門医に連絡して支援を受けられる仕組みにしています。東京都でも健診を受けられる医療機関はまだ60箇所程度です。健診を受ける費用も数千円かかりますこのため東京都医師会では都や都内の各自治体に対し5歳児健診を無料でおこなえる制度をつくるよう求めていくことにしています。
 実は5歳児健診は既に実績のある自治体もあります。その一つが鳥取県です。鳥取県では1996年から5歳児健診が一部自治体で始まり現在では全県での実施となりました。九州・福岡県でも実施する自治体が少しずつ増えてきています。

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2008年3月16日 (日)

妊婦さんとシートベルト

 お腹の大きな妊婦さんはシートベルトをしないで車に乗ることが多いのではないでしょうか。それは妊婦さんたちが、道路交通法ではシートベルトの装着を義務付けていますが、妊婦については「健康保持上適当でない場合」は免除する規定があるのを知っているからかもしれません。
 ところで日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は妊婦さんにシートベルト装着を推奨することを発表しました。近く公表する医師向けの診療指針に盛り込むようです。この2団体では交通事故で年間最大約1万件の流・早産が起き、約40人の妊婦が死亡していると推計しています。装着の注意点は、ベルトが肩と腰の両方にかかり、おなかの膨らんだ部分(子宮)にかからないようにすることです。腰だけを固定する2点固定式ベルトではなく、肩にもかかる3点固定式ならお腹への影響はないようです。
 海外ではシートベルトをしない方が妊婦、胎児とも死亡率が高いことが示されていて、今回の2団体の提言に警察庁も「非常に意義深い。警察も啓発に取り組みたい」と歓迎しているようです。
 WEBには「妊婦のシートベルト着用を推進する会」http://www.maternity-seatbelt.jp/というサイトもあります。

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2006年9月 1日 (金)

認定こども園

 少子化で過疎部では公立保育所の経営が行き詰まり民営化が問題になっています。しかし都市部では保育所が足りないのが現状です。10月から幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設で、子育て支援を必ず行うと制度設定された「認定こども園」がスタートします。幼稚園を管理する文部科学省と保育園を管理する厚生労働省が幼保連携推進室というセクションを作ってできたものです。
 今までは母親が働いていなければ幼稚園、働いていれば保育所と区分化されていました。これに対して子ども園は、親が働いているいないに係らず基本的には就学前のすべての子どもを受け入れいれて、質の高い教育・保育を行い、(子育てを通して親を成長させる、親育ての手伝いという)子育て支援を行います。
 しかし目標通りの質の高い教育・保育・子育て支援ができるのでしょうか。質の高い教育とは、子どもが子ども社会の中や、大人とのかかわりの中で切磋琢磨して身につけていく人間としての生きる力を養うことでしょう。また感性を養い、相手の痛みがわかる心情を育てることも重要です。現場の職員の教育が重要で、質を支えるためにも財政支援が必要でしょう。。
 戦後60年、幼稚園と保育所の2元構造が続き、2つはそれぞれ発展してきました。それをいきなり1元化することは難しく、充分な議論もないままの一元化には反対意見もあるようです。しかし親にとっては従来の「幼稚園」、「保育所」に加えて「子ども園」という選択肢が広がりました。子ども園がどのような位置づけになるか関係者の努力に期待します。(NHKラジオ夕刊 8月31日放送吉田正幸氏の発言を一部引用しました)

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