2018年3月30日 (金)

ゲームなどネット依存

 2月27日、NHKラジオ第一放送の夕方ニュースで「ゲームなどネット依存の現状と課題」が取り上げられていました。
話は、国立病院機構久里浜医療センター 院長の樋口 進さんでした。
 インターネットゲームのし過ぎで日常生活に支障をきたす症状、いわゆるインターネット依存を今年、WHO(世界保健機構)が病気の国際疾病分類に盛り込みました。インターネットゲーム依存を病気と認定したわけです。
 日本では、2012年に厚生労働省が全国の中高生にネット使用状況を調査しました。その結果、ネット依存症が強く疑われる病的な使用と認定した人が518000人いました。また成人の調査ではネット依存傾向のある人が約420万人いることがわかりました。そしてその数は年々増加傾向にあります。スマートフォンの普及でゲームやSNS等の過度の依存が世界中で社会問題になっています。世界的にも10代や20代の依存傾向が強くてゲームのやりすぎで死亡する事例も発生しています。
 樋口 進さんは日本で初めてネット依存外来を2011年7月から開設し、今まで約1400人診ています。ゲームに限って「ゲーム障害」という名前で新しい診断ガイドラインにはいった病気には特徴的な3つの症状があります。
 一つはゲームのコントロールができない、ゲームの時間が減らせない、ゲームの時間が伸びてしまう
 二つ目はゲームが生活の一番の中心になっている。
 三つめはゲームによって問題が起きている、だけどなかなか減らせない、場合によっては増えたりする。
そのため依存によって明確な問題が出ます。学校へ行けない、成績が下がるということが明らかにあります。またこのような症状が12か月は続くことが診断の基準になります。しかし重症であれば必ずしも12か月続かなくても良いとなっています。
 ゲーム依存では、人が集まって一つのゲームをするオンラインゲームが一番多くなっています。夜の9時10時から始まり、明け方まですることが多いので、朝起きれない、学校や仕事へ行けず、引きこもりになったり、昼夜逆転になったりします。このことを親が注意すると本人は逆上して、親へ暴力をふるったり、家の中のものを壊したりします。
 健康への影響もあります。身体を動かさないので、体力の低下が明らかになり、また骨密度が下がったり、心肺機能が落ちたり。脳の神経細胞が過剰のゲームの使用で壊れるという報告もあります。ただしこの健康被害がゲームが悪いのか生活スタイルが悪いのかはまだよくわかっていません。
 韓国では86時間ゲームをした男性が死亡し、死亡事例が10件以上確認されています。でもゲームのやりすぎで死ぬとはどういうことでしょうか。それはエコノミークラス症候群と自殺です。ゲームのやりすぎでお金を使いすぎたり、生活の破綻を悩んで自殺する例があります。
 樋口さんの外来を実際に受診する患者は、2011年7月から約1400人で、男女比は6対1で男性が多く、半分は中高生で、7割が未成年者です。平均年齢は19歳でした。ネット依存にはいろいろあります。SNS、ポルノ、チャット、動画などありますが、90%はオンラインゲームです。
 ネット依存はギャンブル、アルコール依存症と同じ仕組みとわかってきました。これが疾病化された理由です。理性の脳といわれる前頭前野の働きが落ちてきます。ワクワク感を絶えず感じているとワクワク感を感じられなくなる報酬欠乏という状態になります。そしてワクワク感が欠乏しているのでさらに求めることになります。
 ネット依存は今までは定義がなかったので誰もが好き勝手なことを言っていました。しかしWHOが病気であると認定したおかげで、共通の土台ができたのでこの土台を基にして討論できるようになり、研究ができるようになりました。また診断ガイドラインができたおかげで研究は大幅に進むと思われます。
 オンラインの影響が大きい理由は、向こう側に人がいるからです。ゲームやろうよ誘われ、上手いねと褒められることが報酬効果になり、ゲームの中で自分が認められている喜びも加わり、ますますはまることになります。
 動画は男女ともはまりますが、SNSにはまるのは女性が多くゲームは男性が多い。なぜゲームにはまりやすいかは、一つにはネットに依存しやすい環境が言われています。ゲームを容認する環境たとえば親がゲーム好きの環境で育ったなどです。
 また現実社会のなかで居場所がないと思っている人、アイデンティティーが感じられない人もゲームの中で強くなったらそちらがよいと思うわけです。例えば現実社会で野球で有名になるのは困難だがゲームのなかで有名になるのは簡単なので簡単な方にいこうとします。
 またゲームと引きこもるには二通りあり、引きこもりからスタートしてゲームにはまる場合と、ゲームにはまって引きこもりになる場合があります。
 治療についてはWiFiやスマホを取り上げるのはほぼ無効です。本人たちの強い反発にあいます。本人達と対話をもって、本人たちに自分がおかれている状況を分かってもらい、本人達にゲームの時間を減らす辞めるのを決断してもらう、それを支援することが大事です。
 そのためにも全国にあるインターネット依存治療施設に行くことが大事です。本人が依存に気づいていれば行くかもしれませんが、気づいていない場合は反発するかもしれません。家族が大変な思いをして連れてくることも、場合によってはだまして連れてくることもありますが、どういう方法であっても病院に来て治療を受けた方がよいです。病院に連れてくる方法についても情報を提供しています。
 ゲーム依存は早め早めの対応が大事です。ゲーム依存の進行度はものすごく早く、場合によっては2か月3か月でひどくなります。もしうちの子が危ないと思ったらアクションを起こしてほしいと言っています。
 危ないかどうかの判断のひとつとして、依存度を図るためのテストを樋口さんは公開しています。ある程度の点数にあれば注意です。
ネット依存のスクリーニングテスト
http://www.kurihama-med.jp/tiar/tiar_07.html

 インターネットをする時間を増やすために家庭での仕事や役割をおろそかにすることがありますか
 インターネットで新しい仲間を作ることがありますか
 日々の生活の心配事から心をそらすためにインターネットで心を静めることがありますか
 インターネットをしているときにあと数分だけと言っている自分に気が付くことがあるか
 インターネットをしていた時間の長さを隠そうとすることがありますか
 依存行動とそれに伴う問題が明確にあるか、学校へ行けない、部屋にこもるなどあれば問題です。
 社会はどう取り組めばよいのでしょうか。学校にいくとゲームとかインターネットの話題が一番多くなっています。そこで学校の中でインターネットは便利だが依存があるということを教育に取り入れていくことが大事です。家庭でも保護者にその現実を理解してもらい、過剰にしているときはよく相談して時間を決めることも必要です。一日のなかで30分でも1時間でもよいので家族全員でオンラインんを使わない時間をつくることも大事です。そしたらみんなで話題が出たりして依存の予防になります。また使い始めるときに家族でルールを決めることも大事です。
 以前、テレビやテレビゲームが出てきたときにも子どもたちの依存が問題になりました。しかしテレビは一方通行でした。またテレビゲームはオフラインで一人でするタイプでした。そのためその世界以外のことで楽しいことを知ったら自然と依存はなくなっていました。しかしインターネットゲームはオンラインであることが最も違います。リアルタイムに対人が入るため依存性が急速に増えます。仮想空間の中での人へ依存してしまいます。
 どの依存でも言われていますが、早くから始めると将来依存になるリスクが高くなります。ところでアルコール、たばこ、ギャンブルには開始の年齢制限があります。しかしインターネットには年齢制限がありません。0歳からやっていることもあります。ところでインターネットの早期開始がどういうインパクトがあるかの研究はまだありません。今後はこれは大事なことでおさえておかないといけないことです。
 海外の取り組みでは、日本より一足早く社会問題化した韓国では全国18か所にネット中毒予防センターを設置し、未成年のネットカフェの出入りを禁止、16歳未満が午前0時から6時までネットゲームに参加できないシャットダウン制を定めています。社会をあげて取り組まないといけない問題になっています。
 日本でも早急な対策が必要ですが、先ずは実態調査で、どのくらいのインターネット依存の方々がいて、どのような問題があるか正確に評価しないといけません。また調査を学校でやってもインターネット依存で来てない子どもがいっぱいいるわけで、よく考えて調査しなければいけません。また学校での教育だけではなく、保護者、地域の方々に理解していただく社会全体の予防教育が大事です。
国立病院機構久里浜医療センター
ネット依存治療部門(TIAR)
http://www.kurihama-med.jp/tiar/index.html

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2018年2月27日 (火)

孤独担当相とイクメンブルー

 英国のメイ首相は1月18日に「孤独担当相」Minister for Lonelinessを新設しました。孤独担当相とはどういう行政の仕事をするのかと多くの人が思ったことでしょう。
 2016年6月、欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票の直前に、極右思想の男性によって殺害されたジョー・コックス議員(労働党)が「孤独は若者も老人も差別せずに苦しめる」と「孤独委員会」を発足させていました。
 メイ首相は「ジョー・コックス議員はこの国に広がる孤独の問題の規模を認識し、影響を受ける人たちのために全力を尽くした」と述べ、トレイシー・クラウチ下院議員(保守党)を初代大臣に任命しました。新大臣はコックス議員が立ち上げた、「孤独委員会」の仕事を継承し、孤独委員会や経済界、慈善団体と協力しながら、政府としての戦略を策定するそうです。
 英国は孤独を重大な社会問題ととらえています。
 
 2月20日、NHK Eテレの「ハートネットTV」で英国の「孤独担当相」を取り上げていました。番組の中では、イギリスの現状も語られていました。英国の人口約6500万人のうち900万人以上が孤独を感じているそうです。また高齢者で1か月以上家族や友人と話をしていない人は、約20万人もいるそうです。
 
 米国でも「蔓延する孤独」への対処は喫緊の課題という論文を公衆衛生局の元長官が発表しました
 
 深刻化する孤独に私たちはどう向き合えばよいのでしょうか。
まず「孤独」の定義を英国では、単に一人で時間を過ごすということではなく、「信頼できる人と、深い関係を築けていない。」という悲観的な気持ち つまり寂しさを感じるという心の問題としています。
 高齢者の約20万人が一か月以上家族や友人と会話なく、子育て中の親の5割が、孤独で悩んだ経験あり、若者では支援団体を利用した人の4割が、孤独を経験しています。また障害者の5割が毎日のように孤独を感じていて、介護者は身近な人の介護で、8割が孤独を経験しています。
 さらに孤独が健康に害を及ぼしているとして、孤独がタバコを1日当たり15本吸っていることに相当し、心疾患のリスクが29%高まり、認知症になる確率が1.6倍上がるとしています。その結果、経済への影響として約5兆円の損失になる恐れがあると言っています。
 
 日本ではどうかというと、1人暮らしの割合をみても、1980年は1人暮らしの割合は20%だったのが、現在では約34%になり、2040年には約40%になると予想されています。
 さらに驚いたことには10年前に15歳を対象にユニセフがおこなった調査で「孤独を感じる」という子どもの割合が日本がダントツの1位で約30%の子どもが孤独を感じていると答えています。2位のアイスランドの約10%を大きく突き放しています。
 子どもたちが既に孤独を強く意識している日本は孤独を社会問題として真剣に取り組まないといけないでしょう。
 
 話は変わりますが、「イクメン」という言葉がすっかり社会に定着してきました。父親も仕事を言い訳にして育児を母親に押し付けてはいけない、積極的に協力することが当然となってきました。それはもちろんよいことですが、その反面では、マタニティーブルーや産後うつ病ならず、イクメンブルーが問題になってきています。
 男性が育児を理由に仕事内容を変えることに理解ができない日本では、仕事と家庭の両立に悩み、メンタルの不調に陥り、育児中にうつ病になる男性がでてきています。“イクメン”という言葉にすごくプレッシャーを感じて追い詰められている男性たちがいます。このような男性は得てして真面目なので、育児に大変な妻にぶつけるということもできず、自分が頑張らなくてはと思いこみ、つらいと言えずため込んで、そして夜眠れなくなります。そして心療内科を受診してうつ病と診断され、休職せざるを得なくなります。こうした父親の心の不調は医療現場でも問題視され始めています。
 ところでイクメンブルーの男性の支えになっているのが近所のパパたちとのつながりのようです。家事育児のやり方や、妻には言いづらい悩みも相談できる「パパ友」を作ったことで、心に余裕が出てきた男性もいるようです。
 また子どもが生まれる前から、夫婦で予防しようという取り組みも始まり、神奈川県大和市では、出産育児で負担が増える妻に、夫が悩みを打ち明けにくい傾向があることを知ってもらおうと「プレ・イクメン講座」が開かれています。
 イクメンブルーも孤独がかかわっているようです。

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2017年9月28日 (木)

乳児の睡り

 育児相談で赤ちゃんの睡眠が昼夜逆転して困っているとか、ミルクを与えて眠らせてもしばらくしたら起きて泣くので頻回にミルクを与えなければいけないという訴えをよく聞きます。なぜこのように赤ちゃんの睡眠は安定しないことが多いのでしょうか。
 もともと人には24時間より少し長い周期で変動する生体リズムをもっています。これをサーカディアンリズムといいます。サーカディアンリズムは昼と夜の明暗の周期の変化で調整されることが知られています。24時間より少し長いサーカディアンリズムは、朝の光で地球の1日にである24時間にリセットされています。またサーカディアンリズムに関連して、夜になり暗くなるとメラトニンといホルモンが生産され睡眠が誘導されます。
 胎児はお母さんのおなかの中で光を感じることはできませんが、お母さんのメラトニンを胎盤を経由して受取り自分のサーカディアンリズムを保っています。しかし出生と同時にお母さんからのメラトニンがなくなるので、サーカディアンリズムを保てなくなります。そのかわり約3から4時間周期のウルトラジアンリズムがみられます。生後1か月間は明らかな覚醒や睡眠の時間帯がなく、短い周期の覚醒と睡眠の時間帯が交互に出現します。これがウルトラジアンリズムです。2から4時間おきに覚醒し、数十分覚醒して母乳を飲むというリズムです。このように生後1か月未満ではウルトラジアンリズムの短い覚醒と睡眠の時間帯が分かれてきます。
 しかし新生児は失われたサーカディアンリズムを取り戻すことをはじめます。そのため新生児期にはウルトラジアンリズムとサーカディアンリズムが混在することになります。1か月を過ぎると睡眠と覚醒がそれぞれの時間帯に集約してきますが、昼夜の明暗のリズムとはまだ同期しません。毎日少しずつ入眠時刻と覚醒時刻が遅くずれていくようになります。そのため夜寝ない赤ちゃんもいるようになります。サーカディアンリズムが昼夜の明暗でリセットされて24時間に強制され安定するのは生後4か月以降です。
 サーカディアンリズムの確立にもっとも影響が大きいのが光環境です。明るい時間が長い環境では安定したサーカディアンリズムはつくれません。メラトニンの分泌が抑制されるからです。蛍光灯・LED・テレビ・パソコン・スマートフォンに多く含まれる青い波長がメラトニンの分泌を抑制する作用が強く。そのため夜間は暖色系の電球の光が睡眠にはよいといわれています。特に子どもは光感受性が成人に比べて強いので、夜の光の影響を強く受けてしまいます。子どもを早く寝かしつけるには、蛍光灯を消して白熱灯の赤みのあるある光にかえることは有効です。さらに絵本を読んで聞かせるなどの入眠儀式をおこなえばさらによいと思います。

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2017年7月27日 (木)

pm2.5 レベル2 注意喚起発令

7月27日 朝、福岡県からpm2.5の「レベル2」注意喚起が発令されました。
レベル2の(注意喚起)とは、全ての人を対象として、行動の目安を以下のようにするものです。
・不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らしましょう。
・換気や窓の開閉を最小限にし、屋内への外気の侵入をできるだけ少なくしましょう。
・高感受性者※2においては、体調に応じて、より慎重に行動しましょう。
※2 高感受性者:呼吸器系や循環器系疾患のある方、小児、高齢者等
朝、自宅を出たら異様な臭いがしていました。物を燃やした後の煙のような臭いでした。空を見るともやがかかったように見えました。昨夜の「シーサイドももち 花火ファンタジア」のせいかなと勝手に思っていたら、朝、pm2.5の注意喚起が発令されました。
個人的は初めて、pm2.5の「レベル2」を実感しました。福岡市や福岡県のpm2.5の速報値をみると、元岡地区では、午前2時から5時までは200μg/m3を超えるpm2.5が測定されていました。なんと午前4時は324μg/m3でした。とんでもなく高い値だと思います。福岡市や福岡県がこの結果をどう評価するか注目したいと思います。
幸い、私の診療所には気管支喘息が増悪して受診した子どもさんはいませんでした。糸島地区は午前9時まで20μg/m3以下だったようです。
 
26日午後9時20分ころ福岡市との市境に近い糸島市のリサイクル業者の敷地内で火災があり野積みされていた家電廃棄物やプラスチックが燃えたそうです。鎮火したのは27日午後0時半でした。
福岡県は27日午前、福岡市西区に設置している大気中の微小粒子状物質PM2.5の測定機器が一時的に高濃度の数値を観測したことについて災が影響した可能性があるとしている。 という報道がありました。

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2017年4月30日 (日)

多い7歳児の交通事故

 4月3日のNHKラジオの夕方ニュースで「小学1年生を交通事故から守れ」という特集がありました。
 交通事故の調査で歩行中の交通事故(死亡だけでなくけがも含めた死傷事故)を年齢別に分析すると、平成27年は20歳が470人、40歳が620人、60歳が630人なのに比べて、7歳が1400人と突出して多くなっています。この傾向は平成6年以降変わらないそうです。
 なぜ7歳に交通事故の死傷者が多いのか、交通事故総合分析センター 主任研究員の山口 朗さんのはなしがありました。
 歩行中の交通事故の死者数は、7割が65歳以上ですが、けがを含めた死傷者数では7歳が突出しています。
 子どもの事故で多いのは横断中の事故です。そして交差点以外の場所でも横断中の事故が多いが特徴です。
 全年齢の交差点以外の事故は3割が横断中の事故ですが、小学1年生は交差点以外の事故の6割が横断中の事故が占めていて、全年齢の2倍になっています。
 事故が多い時間帯は登校時間の7時台と下校時間の15時台で、これで全体の7割をしめます。小学1年生は3割が登下校中の事故です。また、遊んでいるときや友達の家に行くときにも多くなっています。これは登下校も含めて独り歩きが増えるためと考えられます。
 曜日では平日が多く、1日当たり250人前後で、土曜日曜日の2から2.5倍になっています。
 性別では男子が多く、女子の約2倍です。
 事故の発生場所は自宅から1㎞圏内の住宅街の道路に多くなっています。子どもも大きな幹線道路は危険だとわかりますが、住宅街の中央線もない細い道路では右に左にうろうろして事故にあいやすいようです。これが交差点以外の事故の多さになっています。
 大人も横断歩道を横断するときの指導はしますが、横断歩道がないところの横断は(しないほうが良いが)、横断するときの危険性の指導が十分にできていないようです。子どもも横断するときに車が止まることを確認せずに、また駐車している車の脇を左右を見ずに横断して事故になることが多いようです。
 また登下校中の事故は4月よりは5月や6月に多くなり、1年生の事故は11月までは比較的多いようです。これは子どもの緊張と安全の意識が低くなることと、周囲の新入生への交通安全活動が高くしていたのが通常状態になることも関係あると思われます。
 今回の分析の結果から教訓にすることは、入学を契機に子どもに道路を横断するときの立ち止まりと左右の確認の徹底を教えることです。また1年生は背が低いのできちんと手を挙げてドライバーに見つけてもらうのも大事です。
 ひとりよりは上級生の指導見守りがある集団での登校がよいですが、入学前に保護者も子どもと一緒に通学路の確認とさらには突発的は状況想定もした指導が大事と思われます。

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2017年2月 1日 (水)

スマホ育児

 1月31日のNHKラジオ第一放送、18時からの「先読み 夕方ニュース」で「“スマホ育児”は、どこまでOK?」という特集がありました。その中で、国立病院機構 九州医療センター 小児科長の佐藤和夫先生のお話がありました。
NHKの「先読み 夕方ニュース」ホームページ「最近の放送「特集」」で放送された内容を聞くことができます。
http://www4.nhk.or.jp/hitokoto/363/

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2016年12月31日 (土)

2016年を振り返って

 2016年の大晦日になりました。今年も子どもの健康・医療を取り巻く環境にはたくさんの出来事がありました。
 昨年から引き続き注視されていたジカ熱は、国内での患者発生が心配されましたが幸い大きな問題は起こらなかったようです。
 3月には例年になくB型インフルエンザが流行しました。そして現在、今冬のインフルエンザの流行が始まりましたが、私のクリニックではA型とB型が半々のようです。冬の初めからB型が多いのは珍しいことです。
 夏には関東と関西での麻しん患者の発生が大問題になりました。特に関西空港での発生は2015年に麻しん排除が認定された後では最大の規模となりました。麻しんは感染力がきわめて強く、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染するとされています。ちなみにインフルエンザでは1~2人です。麻しんに対しては抗ウイルス薬はなく、重症な肺炎や脳炎になることもあり、先進国でも1,000人に1人は死亡する病気であることは忘れてはいけません。
 冬になると胃腸炎が流行しますが、今年は新しい型のノロウイルスが出て流行していると報道されています。そもそもウイルスの遺伝子型の変化は主要な流行株でも2014年末から始まり、昨年から警戒されていることです。私の実感では例年と特にかわらないのですが。
 予防接種ではB型肝炎ワクチンの定期接種が10月から始まりました。対象が乳児のみで、1歳児以上の経過措置がなかったのは残念でした。B型肝炎ワクチンはいわゆる癌ワクチンです。将来の肝硬変や肝臓癌の減少に大きく貢献してくれるでしょう。
 10月からは子どもの医療費の窓口負担が変わりました。行政は助成対象年齢が拡大したことを強調していますが、一部自己負担が新たに加わり、しかも糸島市では所得制限も導入したため、ある一定以上の所得の世帯では助成対象外となりました。これも国の医療費削減政策の結果ですが、介護や老人医療費削減と自己負担増とあわせて考えてみれば、これから先は医療を受けにくい時代になることは間違いありません。それを黙って受け入れるのか。それとも国民の意思を行動に示すのか。真剣に考えなければとんでもないことになるのは明らかです。
 ことしもいろいろなことがありましたが、来年が少しでもよい年であることを祈ります。
 みなさま良いお年をお迎えください。

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2016年10月30日 (日)

子ども食堂・ヤングケアラー

子どもを取り囲むことばから。
子ども食堂
 2012年ころから聞かれることばで最近はかなり浸透してきました。私は子ども食堂とは貧困状態の子どもに食事を無料で提供する民間の活動と思っていましたがそれは少し違いました。
 私がよく聞いているNHKラジオ「先読み!夕方ニュース」で今年の1月と10月に、NPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」事務局長の天野敬子さんの話を聞いてから認識を新たにしました。
 まず参加する子どもは貧困状態の子どもだけでなく、親が仕事で夜家にいなくて夕食を一人で食べる孤食の子どもが主な対象です。また子どもだけでなくその親も参加できます。参加には制限がないところが多いようです。
 食事だけでなく、食事のあとはみんなで遊んだり、ボランティアの学生さんに勉強をみてもらったり、親たちのコミュニケーションの場になったりしています。子ども食堂から夜の児童館へ活動をしているところもあるようです。
 以前なら地域の人が子どもに声をかけて「ご飯食べにおいで」と言っていたのを呼び戻す活動といってもよいでしょう。この活動に一人暮らしの老人に場所を提供してもらったり、地方から出てきて一人暮らしをしている大学生には子どもの勉強をみてもらえば、子どもの孤食の改善だけでなく地域のコミュニケーションが改善できます。
 子どもにとっても、子ども自身が成長し変化し、自分がたくさんの人にサポートをされていることを知って、自分を認めてくれる大人がたくさんいることがわかり、それが自己肯定感になります。自分に自信を持って、元気になれるのです。
 子ども食堂は地域の「おせっかい」の復活です。この活動から、その後地域の人が声をかけれるようになってきます。「知らない人に声をかけられたら、逃げなさい」ではない社会の復活でしょう。

もうひとつのことばは、ヤングケアラーです。
 この言葉は、2月放送の「先読み!夕方ニュース」で立正大学社会福祉学部准教授の森田久美子さんの話を聞いて初めて知りました。介護といえば、寝たきりや痴呆の年老いた親を介護する中高年のイメージが強かったのですが、実は介護をしている中に若者や子どもがいます。
 母親が統合失調症などで不安定な時には学校を休んで介護をする例など、祖父母だけではなく比較的若い親世代の介護をその子どもがしていることがあります。また障害をもつ兄弟の介護があったりもします。そのため兄弟から、まだ若い親、そして一緒に暮らす祖父母の順に介護に携わらずをえなくなることがあります。
 ヤングケアラーはひとり親家庭に多いようです。親が祖父母と小さい子どものダブルケアで忙しいのを手伝うことになるからです。
 介護をになう子どもの生活や負担は日に日に重くなってきます。しかも子どもは自分が介護をしていることを他の人に話せない話しづらい孤独の状態にあります。
 学校に遅刻したり欠席したりする子どもの中にはヤングケアラーがいるかもしれません。遅刻を叱るだけでなく理由を聞いてみることです。そこからヤングケアラーが発見されることがあります。
 子どもも介護に携わっていないか、ヤングケアラーが子どもに過重な負担になっていないか、ヤングケアラーの実態の解明と子どもたちへのケアは今はまだNPO活動が主体ですが、自治体や教育委員会の介入も進んでほしいものです。そして私たちもヤングケアラーの子どもたちがいることを認識していかないといけません。

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2015年12月31日 (木)

2015年を振り返って

 2015年の大晦日になりました。今年も子どもの健康・医療を取り巻く環境にはたくさんの出来事がありました。
 夏になると、抗生物質の効きにくいマイコプラズマ感染が流行をはじめ、年末になっても患者さんが続きました。8歳以上で肺炎になった患者さんには、ミノサイクリンを服用してもらうことで、なんとか入院せずに回復したもらうことができました。8歳未満の患者さんの中には、外来で使える薬では改善せず、入院になった人もいました。6月のブログにも書きましたが、マイコプラズマ感染の診断は発病して1週間以内は検査でもうまく反応がでないので、診断が難しい病気です。早く終息することを願います。
 予防接種では、今年からインフルエンザワクチンが4価になりました。1つの型から2つの型のB型インフルエンザに対する効果が期待できるようになりました。しかしワクチンの原価が50%も値上がりになり、接種料金も値上げに追い込まれました。そのためか例年に比べて接種をされる人が少なくなったようです。
 予防接種では、国内大手の化血研が厚生労働省への製造過程変更の報告義務を長年隠蔽していたため、行政処分でワクチンの出荷停止が相次ぎ、定期接種にも支障がでる事態となりました。また年明けには110日の長期にわたる営業停止命令がでます。ワクチン接種の混乱がますます大きくなると思われます。いつものことですが、自分の足で真相に迫る取材をせず、役所の発表するペーパーのコピー記事しか書けない、また自分の出す記事の社会的、将来的責任を放棄して視聴率を優先する記事しか書けない、日本のメディアはこの問題の本質を報道できていません。メディアは化血研だけを非難していますが、今回の事件で子どもたちの未来に負の影響をもたらす本質は何なのか、よく見極めるべきです。
 12月になり、スギ花粉に続き、ダニのアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が認められました。まだ対象は12歳以上ですが、将来的にはより低年齢にも適応が拡大されるでしょう。アレルギーに対する根治療法に近い治療がクリニックでもできる時代になってきました。
 ことしもいろいろなことがありましたが、来年がより良き年であることを祈ります。
 みなさま良いお年をお迎えください。

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2014年12月31日 (水)

2014年をふり返って

 10月に水痘ワクチンが定期接種になりました。実は年間に約20人ほどが水痘で亡くなっています。水痘は一時的に免疫力を低下させますから、細菌感染が悪化して、亡くならないまでも、四肢の切断などに至ることもあります。そして水痘は将来の帯状疱疹の原因になります。定期接種化でこれらの問題の多くがなくなることになるでしょう。次はおたふくかぜワクチンの定期接種化と子宮頸がんワクチンの接種勧奨再開ですが、日本人独特の問題で、これはなかなか進まないでしょう。
 週刊文春の2015年1月8日号に、本当は危険な「ジェネリック医薬品」という記事が載りました。大衆紙の記事なので最初は真実と嘘のグレーゾーンを針小棒大に煽り立てた記事かと思いましたが、読んでみたらなかなかの内容でした。薬には開発した製薬会社が販売している「先発薬」と言われる薬と、その薬の特許が切れた後に他の会社が主成分を同じにして販売した「後発薬」いわゆる「ジェネリック医薬品」と言われる薬があります。ジェネリック医薬品は開発費がかかっていないので割安です。そこで国は医療費削減のためジェネリック医薬品を処方することを医師や薬局や患者に求めています。今は一定割合のジェネリック医薬品を処方しないと医師や薬局にはペナルティがかかります。しかし先発薬とジェネリック医薬品は同じ薬ではありません。週刊文春の記事にもありますが、主成分は同じでもそれ以外の成分が異なります。そのため体の中での薬の働き具合が異なります。記事にもありましたが、気管支喘息などで処方する先発薬「ホクナリンテープ」と数社のジェネリック医薬品製薬会社の後発薬「ツルブテノールテープ」では血中濃度の時間的変化が異なります。
 数年前、ジェネリック医薬品の処方を国から強制され始めたので、私はどの会社のツルブテノールテープを使うか迷いました。いろいろと資料を取り寄せて、先発薬の「ホクナリンテープ」の血中濃度の動きに一番近い会社の「ツルブテノールテープ」を使うことにしました。他の薬にも同じような問題があります。
 記事にありましたが、国は生活保護の自給者への薬は可能な限りすべてジェネリック医薬品を使うことを強制し始めています。しかし面白いことにジェネリック医薬品を使う割合が最も少ないのが、国家公務員共済組合の保険団体とはいったいどうゆうことなのでしょうか。与党内では次回の診療報酬改定では、医師が先発薬を処方する際は、一つ一つの薬について理由書を必ず書かせることを求めようとしています。そうすることでジェネリック医薬品の処方割合をさらに増やそうと目論んでいます。
 政治や経済の動きをみていると、来年か再来年くらいに医療保険制度大きく変わるかもしれません。さらにその先には、今のように患者が必要な時にどの診療所にも自由に受診できることがなくなる時代がやってくる可能性があります。
 最後は少し暗い話になりましたが、それでも新しい年に希望をもってみたいものです。
 皆様よいお年をお迎えください。

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