2009年6月10日 (水)

板付地区で発生した新型インフルエンザに対する行政の対応について

博多保健所は季節型だと押し通した。
 春日市の夜間救急も積極的におこなってる徳洲会病院では、今回の新型が判明する数日前からA型インフルエンザ陽性の児童を診ていました。しかし保健所からは季節性で対応するように言われていました。
 6月5日、博多区の小児科医が板付小学校の児童4名のインフルエンザA型陽性を診察しました。さらに1クラスで10名近くの欠席者がいることも知りました。4人分の疑似症患者の届け出をしたところ、博多保健所からは、季節型インフルエンザの対応で構わないと言われました。新型かどうかの精密検査はしてくれませんでした。また4人の患者の保護者も博多保健所の発熱相談センターに問い合わせをしましたが、保健所からは季節型インフルエンザと考えられるので発熱外来へ受診する必要はないと言われたようです。

今回の新型を確定診断したのは福岡市ではなく福岡県です。
 福岡市が管轄する博多保健所では精密検査をしてくれないことを聞き知っていた、春日市の小児科医は、6月5日に診察したA型インフルエンザ陽性の患者から採取したウイルス検体を、福岡県の管轄する筑紫保健所に提出しました。その結果、今回の第1例の新型と判明しました。

役人は市民より霞ヶ関をみている。
 福岡市は10日の会見で、精密検査をしなかったのは渡航歴がなかったためで、これは厚労省の指示に従っている。そのため今回の対応には問題はないと言い切りました。記者たちの質問に気色ばった顔で答える市幹部の頭の中では、市民を守るよりも厚労省の言うことに従うのが重要とでも考えているのでしょうか。見ていて不快でした。
 日本の国内感染例の第1号は渡航歴のない大阪の高校生だったのを忘れたのでしょうか。あの時も開業医が渡航歴はないが疑わしいから検査をしてくれと再三言ってやっと検査をして判明しました。
 今時季節性のA型インフルエンザはほとんどいません。これは医療の専門家である医師の常識です。現場の複数の医師が疑わしいと言っているのに、医療素人の自覚のない役人が、医療現場より厚労省のいうことしか聞かないからこんな結果になったのです。

過ちをみとめないところに今後の改善はない。
 福岡市は福岡県の情報公開が不十分だったのが今回の感染拡大につながったと言っています。しかし情報提供があっても、厚労省のマニュアルに当てはまらない今回の検査をしたとは思えません。
 詳細はここでは書けませんが、新型が判明した後の8日になっても、板付以外の博多区のA型陽性患者と、板付地区で新型患者と濃厚接触のある成人のA型陽性患者を診察した各々の小児科医が博多保健所に連絡しても、やはり季節型で対応するように言われました。
 福岡市は初動ミスを認めるべきです。過ちを認めないということは、今後も改善するつもりはないということです。なんと先のない行政でしょうか。悲しい限りです。

 現在、国立感染症研究所の疫学専門チームが福岡市に入って調査を開始しています。どのような調査結果を出すか注視していきたいと思います。

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2008年4月20日 (日)

多種類ウイルス同時検出キット

 呼吸器感染(症状としては咳、鼻汁、熱)をおこす代表的なウイルス12種類を同時に検出する検査キットができて、米国では使用が承認されたそうです。高熱が続いた時には、以前は、熱の高い風邪ですとか、根拠は曖昧なのに、インフルエンザですと言い切っていました。しかし現在はそういうあやふやな診断では患者さんは納得されません。またインフルエンザの治療薬のタミフルは診断キットで陽性の患者さんにしか処方が原則としてできません。日本では外来で迅速検査ができるのは大きく3種のウイルス(インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス)だけですが、風邪症状や高熱をともなうウイルスは他にもあります。迅速検査の対象となるウイルスの数が増えて、しかも同時にできれば、診断もより確実になり、患者さんの負担も軽くなります。インフルエンザの検査のための綿棒を鼻に入れられるのは痛いのですから、それを何回もする必要がなくなり、痛い検査も1回ですむわけです。
12種のウイルスは、以下の通りです。
インフルエンザA型 H1 (ソ連型)
インフルエンザA型 H3 (香港型)
インフルエンザウイルスA型 (上記以外のA型)
インフルエンザB型
RSウイルスA型
RSウイルスB型
パラインフルエンザ1型
パラインフルエンザ2型
パラインフルエンザ3型
ライノウイルス
アデノウイルス
メタニューモウイルス
 ヨーロッパではこれより7種類多い、19種類のウイルスを同時検出できるキットが承認されたそうです。
これからはますます、「○○ウイルスによる熱です」とか「○○ウイルスによる咳です」という診断を求められるようになるでしょう。

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2006年7月17日 (月)

細菌性腸炎

夏はキャンプなどでバーベキューをする機会も多くなります。気温が高いので食べ物の鮮度と食中毒の原因菌の汚染には注意してください。特に肉類や卵、魚介類は充分に火を通してから食べるようにしてください。毎年夏になると、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ、O-157などが原因の感染性胃腸炎が増えてきます。これら細菌性腸炎は腹痛、下痢がきついのが特徴です。多いのがカンピロバクター腸炎です。これは主に鶏肉にいるカンピロバクター菌が原因です。よくある例では不十分な調理をした焼き鳥を食べた後に腹痛、嘔吐、下痢、発熱がおこります。抗生物質を内服すると24時間以内に解熱し、48時間以内に菌が見られなくなります。強い下痢止めの薬は使いません。便とともに菌を体外に出すほうが結果的に早く腸炎がよくなります。整腸剤を内服します。楽しいバーベキューが台無しにならないようにしましょう。

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2006年6月27日 (火)

夏かぜと抗生物質

今年は5月が天候不順だったためか例年より風邪が多いようです。ヘルパンギーナ、手足口病などの夏風邪はのどの所見に特徴があり、その他にもヘルペス性口内炎、突発性発疹、体に発疹が出るエンテロウイルス、そして今流行のアデノウイルスなどものどを診ればある程度は病名が予測できます。これらの病気はいずれもウイルスが病原体です。子どもの風邪は90%はウイルスが病原体です。ウイルス性の病気には抗生物質はまったく効きません。抗生物質はウイルスとは異なる病原体の細菌にしか効果がありません。すなわち今の風邪にはまず抗生物質は効きませんし、私も必要のない抗生物質は処方しません。

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