2016年1月25日 (月)

B型肝炎ワクチン

 昨年までは、B型肝炎ワクチンが今年の4月から0歳時に対して定期接種になると言われていました。ところが国内のB型肝炎ワクチンの約80%のシェアをもつ化血研の事件で、ワクチンの市場への供給ができなくなり、定期接種化は10月になりそうです。
 ところでB型肝炎ウイルスにはいろいろなタイプがあって、遺伝子型(ジェノタイプ)が異なります。8タイプあり、発見された順番にアルファベットのA、B、C・・・と名付けられています。日本ではジェノタイプCが多く次がBです。欧州ではジェノタイプAとDが多くみられています。米国では多種混合のようです。そのため日本以外の国で接種されているB型肝炎ワクチンはジェノタイプAのウイルスを基につくられています。日本のワクチンはジェノタイプCのウイルスを基につくられています。そしてこのジェノタイプCのワクチンは日本だけで販売されています。
 化血研が5月6日まで営業停止処分となっているため、ジェノタイプCのB型肝炎ワクチンは診療所や病院は入手できません。化血研の血液製剤やワクチンなど計35品目のうち、代替品がない27製品は医療現場への影響が大きいとして処分期間中も出荷が認められたと報道されていますが、実際は医療機関への納入はできないようになっています。米国に本社をもつ製薬会社MSDのジェノタイプAのB型肝炎ワクチンはわずかですが入手が可能になっています。
 ところでジェノタイプCのB型肝炎ワクチンを接種したら、ジェノタイプAのB型肝炎は防御できるのでしょうか。この問題については研究と治験の結果が出ていて、ジェノタイプCのB型肝炎ワクチンでも、ジェノタイプAのB型肝炎は防御できるとされています。またジェノタイプAのB型肝炎ワクチンでも、ジェノタイプCのB型肝炎は防御できます。
 ではB型肝炎ワクチンは計3回接種しますが、最初の1ないし2回をジェノタイプCのワクチンで接種した後で、残りの回数をジェノタイプAのワクチンで接種をしたら、B型肝炎は防御できるのでしょうか。ジェノタイプCのB型肝炎ワクチンは日本だけで発売されているので、ジェノタイプの異なるB型肝炎ワクチンの混合接種の効果をみた研究は世界的にはありません。日本でおこなわれたジェノタイプの異なるB型肝炎ワクチンの混合接種の研究では、B型肝炎のHBs抗体が十分にできるので、感染防御できるとしています。しかし症例数が10例以下の学会発表です。
 B型肝炎ワクチンは1回目から約4週間後に2回目を接種し、初回接種から約6か月後に3回目を接種するのが理想です。しかし接種間隔が数か月あいても問題はありません。3回目の接種に関しては初回接種から6か月よりは12か月までの方が免疫の効果がよいとう研究もあるくらいですから。日本固有のジェノタイプCのB型肝炎ワクチンの接種が途中のかたは、ワクチンの供給が改善する5月以降まで待って、接種を再開されても大丈夫です。無理をして欧米のジェノタイプAのB型肝炎ワクチンと混合接種をしなくてもよいのではないかと思います。

 この記事を書いたあと、1月29日に厚労省は化血研のB型肝炎ワクチンの出荷停止を解除しました。ワクチン不足はなくなりました。

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2015年8月31日 (月)

変わるインフルエンザワクチン

 今年度からインフルエンザワクチンの内容が少し変わります。昨年度までは、1つの注射の中に3つのワクチンが入っている3価ワクチンでした。A型が香港型とカリフォルニア型(2009年に流行した新型インフルエンザ)の2種類、B型が1種類でした。今年度からB型が2種類入り、4価ワクチンになりました。B型インフルエンザには山形系とビクトリア系という二つの系統があります。昨年度まではどちらか1つをワクチンの中に入れてきましたが、最近はB型インフルエンザは2つの系統の混合流行が続いていることと、WHOが2013年に4価ワクチンを推奨したこと、米国が一昨年度から4価ワクチンとなり、世界の動向が4価ワクチンへ移行しているため、日本でも4価ワクチンになりました。
 昨年度までは4価にできない理由が別にありました。日本では生物学的製剤基準でワクチンに入れることができるウイルス総蛋白量の上限値が規定されていたのですが、3価ワクチンですでにこのウイルス総蛋白量がいっぱいでした。そこで厚労省は4価ワクチンを導入するために基準値を上方修正したため、日本でも4価ワクチンができることになりました。今までは、蛋白量が多いと副反応が出やすくなるから規制があったと理解していましたが、基準値を上げるに当たって安全性の証明の調査をどれだけしたのかよくわかりません。
 そもそもB型ワクチンは効果が低いワクチンです。A型は鳥と豚と人に感染する人畜共通感染です。そのためワクチン製造過程でを鶏卵を使って培養しても効率よく培養ができます。しかしB型はヒトにしか感染しません。そのため鶏卵の培養の効率が低くなります。しかもB型の流行は毎年インフルエンザシーズンの最後になるので、ワクチンの効果が時間的に低くなります。このような特性のB型を2価にしてもどれほど効果があるのかと思われます。
 また4価ワクチンになって、ワクチンの卸値が1.5倍に上がりました。これには全国の医療関係者が驚いています。日本にはインフルエンザワクチンを製造する会社が4社ありますが、4社がほぼ同じ価格を提示してきました。独占禁止法に抵触するところはないのか疑問です。その結果、診療所での接種料金を値上げせざるをえなくなりました、不景気が深刻になるばかりの世相ですので、接種料金を1.5倍にはできません。私の診療所では約1.2倍の料金にしました。
 さて、8月30日の毎日新聞に「インフルワクチン:乳児・中学生に予防効果なし 慶大チーム調査」という見出しの記事が出ました。これはたいへん誤解を招く見出しです。インフルエンザワクチンは発症を予防できるものではありません。重症化を抑制するワクチンです。ワクチンでは血中の免疫を高めますが、ウイルスは鼻から入ってくるので、鼻の粘膜の免疫を高めないと予防はできません。今のインフルエンザワクチンではこれはできません。またインフルエンザ感染の有無、発熱で受診するしない、ワクチン接種歴の有無の組み合わせは8通りあります。この論文では、発熱して受診して、インフルエンザ感染を証明できた患者の中で、ワクチン接種歴の有無を調べて比較研究しています。ワクチンを接種しても発熱しない人は受診しませんが、この患者グループは調査されません。現実問題として、最初の8通りの組み合わせすべてを調査することはできないので、ワクチンの効果の研究では、有効性を統計学的に評価するには無理があります。この論文は1歳から12歳までは一定の発症防止効果がみられ、A型では全ての年齢で重症化を防ぐ効果がみられたと読むべきと思います。
 インフルエンザワクチンは鼻の免疫力を高める、経鼻噴霧式のワクチンや、鶏卵で培養して作るのではなく、細胞培養で一度に大量生産するワクチンの開発が進んでいます。しかしいずれのタイプも欧米が進んでいて日本は遅れているようです。

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2015年1月30日 (金)

B型肝炎ウイルスワクチン

 例年より約1か月早く、12月中旬から始まったインフルエンザの流行がようやく落ち着いてきました。
 平成28年度からB型肝炎ワクチンが公費接種になるようです。1月15日に開かれた厚生労働省の「予防接種・ワクチン分科会」で決まりました。今まではB型肝炎ウイルスを持ち続けるキャリアの女性から生まれた赤ちゃんには、B型肝炎のワクチンを接種する対策が保険診療で行われ、母子感染は減ってきました。しかしそれ以外の目的の接種は自費でした。母親以外のキャリアが家族にいると感染の危険性がないわけではありません。父親からの感染や保育園など集団生活の中で感染したケースも報告され、すべての赤ちゃんにワクチンを接種する必要性が指摘されていました。海外ではB型肝炎ワクチンはすべての乳児が接種対象になっている国が多くあります。
 今回の公費接種の対象は0歳児になる予定です。そのため現在乳児のお子さんは定期接種になるまで待つことはやめて、可能なら自費での接種を勧めてください。

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2014年6月30日 (月)

髄膜炎菌ワクチン

 あまり話題になりませんが、7月に髄膜炎菌ワクチンが承認されます。髄膜炎の病気のワクチンといえば、ヒブ(インフルエンザ桿菌タイプb)や肺炎球菌ワクチンが接種されています。髄膜炎菌はヒブや肺炎球菌とは異なる細菌です。髄膜炎菌は飛沫・接触感染で感染し、敗血症や髄膜炎を発症します。病気の進展が非常に早く、発病から1ないし2日で死亡することもあります。国内では終戦直後は年間数千人の患者報告がありましたが、最近は年間20名以下と減少しています。0から4歳と15歳から19歳が多いようです。
 ここで思い出されるのが、2011年4月、宮崎県の高校の寮でおきた髄膜炎菌の集団発生の事例です。4名が敗血症や髄膜炎で入院し、その中の1名が死亡しました。髄膜炎菌は一般の人にかかわりのない細菌では決してありません。
 髄膜炎菌は人が唯一の保菌者です。無症状で菌だけを保菌している人がいます。国内の保菌率は0.4%と言われています。また保菌者から感染しても必ずしも発症はしません。発症するのはごく一部です。しかしひとたび発症すると症状は激烈です。
 そこでワクチンが開発されましたが、2歳以下の幼児には効果が薄く、大人に対しても効果はありますが、その効果は数年でなくなると言われていましたが、最近はより免疫効果の高いワクチンが開発されました。
 ところで髄膜炎菌には、A、B、C、Y、W-135群などのいくつかの型があり、日本で分離される菌は、B群、Y群がほとんどです。今回承認された髄膜炎菌ワクチンには、Y群は入っていますが、B群が入っていません。実は宮崎の集団発生の菌は、B群でした。B群のワクチンも研究されていますが、免疫をつける力が弱く、神経細胞の免疫とも似ているので副反応が強く出たりして、開発は困難を極めています。
 髄膜炎菌ワクチンは1回の接種でよいのですが、自費になります。費用は病院により異なりますが。2万円くらいになるのではと思われます。海外では公費のワクチンになっている国も多くあります。高額で、B群の髄膜炎菌には効果がありませんが、接種する価値は有ると思います。

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2013年1月31日 (木)

水痘、おたふくかぜワクチン

 最近、お母様方から、水ぼうそうとおたふくかぜのワクチンは2回接種した方がよいのですかとよく質問されます。
 日本小児科学会と国立感染症研究所の感染症情報センターの予防接種のスケジュールでは、おたふくかぜと水痘の予防接種を2回接種を薦めています。いずれも予防接種を確実にするために、MRと同じように2回接種が必要としています。
   http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_110427_1.pdf
   http://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule.html
 おたふくかぜは、1歳を過ぎたら早期に接種、5歳以上ー7歳未満で接種することが望ましく、水痘は、1歳を過ぎたら早期に接種、3か月以上あけて2歳未満に接種することが望ましいとしています。
 なぜ2回接種がよいのでしょうか。1回の接種では免疫がうまくつかない例があります。また生ワクチンは早ければ5年遅くとも20年くらいで免疫の効果がなくなります。2回の接種をすることでこれらの問題をなくします。
 特に水痘ワクチンは1回目の接種での免疫の効果が7割くらいなので、2回目の接種を早めにおこなうことを薦めています。おたふくかぜはワクチンは1回目の接種での免疫の効果も9割くらいあるので、2回目はMRと同様に就学前頃を薦めています。ただし、水痘もおたふくかぜも、自費のワクチンなので、2回接種は現状では「望ましい接種」と考えます。

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2012年9月30日 (日)

ワクチンの接種間隔

 今は、三種混合や日本脳炎などの不活化ワクチンを接種したら、次に異なる種類のワクチンを接種するには6日(1週間)以上空けることとされています。BCGやMRなどの生ワクチンの場合は27日(4週間)以上空けることとされています。
 これは日本だけの決まりで、海外では、生ワクチンン同士の間隔は27日空けることとされていますが、不活化ワクチンの後や、生ワクチン後の不活化ワクチンの接種について制限はありません。三種混合を接種した翌日に日本脳炎を接種しても問題なし。同じくMRの翌日に三種混合を接種しても問題なしとなっています。
 日本が接種間隔をあけることにこだわったのは、ワクチンの副反応がでた場合に原因のワクチンの特定をしやすくするためもありました。これは医学会からの意見ではなく、科学的な根拠なしでの行政の判断でした。
 最近になりようやく厚生労働省も海外と同じにする方向にきているようです。それにあわせてか、日本小児科学会も、9月19日に当時の小宮山大臣に「異なるワクチンの接種間隔変更に関する要望書」を提出しました。
  http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_120921_4.pdf
 ヒブ、肺炎球菌ワクチンに加えて、不活化ポリオが始まり、乳児のワクチン回数が格段に多くなり、規定された接種間隔でワクチンスケジュールを組むことが難しくなってきました。この点も改正に向けた動きの原因です。
 早ければ来年度から、接種間隔の規制が大幅に緩和されるかもしれません。そうなったら、ワクチンスケジュールにかなりの余裕ができます。法改正を期待します。

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2012年8月31日 (金)

不活化ポリオワクチン

 9月からポリオワクチンが不活化ワクチンになりました。このワクチン切り替えがニュースでもよく取り上げられていますが、これは異例のことと思います。それはここ数年の冷静感を欠いたメディアのせいでしょうか。
 不活化になれば毒性と言われる、約400万人に1人の生ポリオワクチンによる麻痺はなくなります。しかし、不活化ワクチンは生ワクチンに比べたらポリオウイルスに対する免疫力が劣ることは報道されませんでした。ポリオウイルスはお腹の腸に感染するウイルスです。感染した患者さんの100人から1000人に1人の割合で、ポリオウイルスが腸から体内に入り神経細胞を傷害してポリオ麻痺がおこります。
 生ワクチンは飲むワクチンで、腸に直接入り腸の免疫を作り、その後血液の免疫も作ります。しかし不活化ワクチンは注射なので、血液の免疫は作りますが、腸の免疫はつくりません。その結果不活化ワクチンだけ受けた子は、ポリオウイルスに感染したら、腸への感染を許してしまいます。血液の免疫があるのでポリオ麻痺にはなりませんが、ウイルス感染は防ぐことはできません。
 ここに問題があります。外国からポリオ感染者が来て、国内の不活化ワクチン接種済みの子どもが感染したとき、発病はしませんが、その子は腸にポリオウイルスを抱えて他の子どもに感染させる可能性があります。もし感染させられた子がワクチン接種前だったら、その子は0.1から0.01の確率でポリオ麻痺になります。
 昭和30年台にすでに不活化ポリオワクチンはありました。しかし全国で5600人と言われた爆発的な流行は阻止できませんでした。流行を止めたのは腸での免疫が作れる生ワクチンでした。2012年、ベトナムは不活化ポリオワクチンを接種していましたが、ポリオ患者の発生がベトナム南部であり広がりました。ベトナム政府が執った方法は国民に生ポリオワクチンを飲ませることでした。そうしてようやく流行を止めることができました。これから先、日本でもベトナムと同じことが起きないとは限りません、その時はどうするのでしょうか。日本の生ポリオワクチンの備蓄はあと2年分だけという話もあります。
 もう一つ、日本の下水や河川にはポリオウイルスがいます。これは春と秋の生ポリオを飲んだ子の排せつ物からのウイルスです。多くは毒性を持たないワクチンウイルスです。しかし少数ですが生ワクチンのポリオウイルスは腸内で毒性を回復します。毒性をもったポリオウイルスが日本の下水にいることはわかっています。しかしこれらのウイルスがいつになったら日本の下水や河川から消えるのかはわかっていません。2001年から生ワクチンを止めたアメリカも米国内で追跡調査をしていますが、いまだに河川からポリオウイルスは消えていません。数十年は残るのではとも言われています。
 最後に、生ワクチンの免疫効果はほぼ一生続くと考えてよいと思います。しかし不活化ワクチンの効果は続きません。海外では約10年に1度の追加接種をおこなっている国もあります。生ワクチンの備蓄と不活化ワクチンの追加接種については厚労省内部では検討中のようです。
 約50年前に日本の子ども達を救った生ポリオワクチンも、数年前からはメディアのバッシングであたかも悪魔のワクチンのように言われました。戦時の英雄も平和になれば処刑されるのは歴史でよくあること。生ポリオワクチンの再登場を求める事態が来ないことを祈るばかりです。

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2011年11月30日 (水)

インフルエンザワクチンとロタウイルスワクチン

 今シーズンからインフルエンザワクチンの子どもへの接種量が変わりました。6ヶ月から3歳未満の児には、1回 0.25mL を皮下に2回接種します。3歳から13歳未満の児には、1回 0.5mL を2回接種します。13歳以上の児には、1回 0.5mL を1回注射します。
 昨シーズンまでは、1歳未満には1回 0.1mL、1歳から6歳未満には1回 0.2mL、13歳未満には1回 0.3mL を2回注射していました。 13歳以上は 0.5mL を1回注射していました。
 1歳未満の子や、3歳から6歳未満の子は、昨年から一挙に2.5倍の接種量に増えました。ワクチンの中身が変わったわけではありません。1回の接種量だけ増えました。こんなに増えて大丈夫ですかと心配される保護者もいらっしゃいますが、今シーズンからの量が世界標準です。今までの日本の接種量が少なすぎたのです。そのため昨年までは1歳未満は接種しても効果が全くなかったわけです。
 3歳以上では接種量が成人と同じになったので、1回の接種で免疫の効果は十分に上がり、2回接種に比べてもわずかに劣る程度でほとんど差がありません。
 厳密には、8歳以上では、前年のシーズンにワクチンを接種していなくても今期に1回接種で十分に免疫が付きます。ただし8歳未満では、前年の接種がないと今期は2回接種しないと免疫が十分ではないようです。
 しかし今シーズンのインフルエンザワクチンは内容が昨年のシーズンと全く同じです。インフルエンザワクチンは、毎年、中のA香港型、Aソ連型、B型のウイルスの細かいタイプが少しずつ変わります。しかし今シーズンのワクチンは変わりませんでした。
 ワクチンの内容が変わらなければ、昨シーズンに接種していれば、今シーズンは全年齢で1回の接種で十分免疫がつくというデータがあります。
 アメリカのインフルエンザワクチンの接種も、前年に接種した場合は1回接種でよいとなっているようです。
 私のクリニックでも昨シーズンに接種している子どもで、特に3歳以上は、今シーズンは1回接種でもよいとしています。

 11月21日からロタウイルスワクチンの接種ができるようになりました。残念ながら任意接種で自費となります。1回15,000円前後の医療機関が多いかと思います。それを2回接種しなければなりません。このワクチンは最も高額なワクチンです。英国に本社を置く海外メーカーのワクチンです。1ドル=100円のレートで価格を計算しているようです。1ドル77円前後の現実とはかなりかけ離れています。超円高の恩恵はありません。問題なのは為替レートが変わったり、年月がたっても価格の改定がないことです。いつまでたっても割高なワクチンを海外のメーカーから買わされているのが現状です。
 もうひとつの問題はこのワクチンの接種時期が生後4週から24週と限られていることです。この背景には、以前、別のタイプのロタウイルスワクチンで、接種後に腸重積が有意に発生したため、腸重積の発症が多い生後6か月以降の接種を回避したためです。
 アメリカでは「2回目の接種を終了しなければいけない期限は8か月まで。」とされています。しかし日本ではロタウイルスワクチンの臨床治験で対象を24週までとしたため、24週以降は接種できなくなりました。これは、ヒブ、肺炎球菌ワクチン、三種混合ワクチン、BCGの接種を考えると、スケジュール的にかなり厳しい結果をもたらしています。

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2011年6月30日 (木)

お母さんのためのワクチン接種ガイド

ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンが再開されましたが、接種するお子さんたちの数が思ったより少ないようです。メディアがあおった不安が尾を引いていて、接種を迷っている保護者の方々が多いようです。そのような人に読んでいただきたい本があります。「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会が編集した、『お母さんのためのワクチン接種ガイド』です。
わかりやすい内容で、疑問や不安に答えてくれることと思います。
目次は

1.VPD(ワクチンで防げる病気)って何ですか
2.ワクチンで防げる子どもの病気
B型肝炎 ヒブ感染症 肺炎球菌感染症 ロタウイルス胃腸炎 ジフテリア・破傷風・百日せき 結核 ポリオ(急性灰白髄炎) 麻しん(はしか) 風しん おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) みずぼうそう(水痘) 日本脳炎 インフルエンザ 子宮頸がん

3.ワクチンに副反応はないの?
4.ワクチンを接種する前に知っておきたいこと
5.ワクチンQ&A もっと詳しく知りたい人のために
ワクチンとはどのようなものですか?
なぜワクチンを受けなくてはいけないのですか?
ワクチンは自然感染より安全なのですか?
ワクチンより自然感染したほうが免疫は確実ではないですか?
ワクチンを受けずに病気にかかっても治療すればいいのでは?
海外渡航するのですが予防接種はどうすればいいですか?
世界で広く使われているのに、日本で摂取できないワクチンがあるのですか?

6.日本の予防接種制度はどうなっているの?
日本の予防接種体制の現状と問題点

7.おすすめ予防接種スケジュール
予防接種スケジュール一覧

私のクリニックには数冊置いています。待ち時間の間に読まれてみてください。

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2011年3月31日 (木)

ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンが再開

 4月1日からヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンが再開になりました。欧州でもワクチン導入時に接種後の乳幼児死亡の報告例が続いたため接種を一時中断して国が検証を行い、接種と死亡との因果関係はないといことで再開になったことがあります。
 残念ながら乳幼児期はワクチンや薬を飲んだり注射をしなくても、基礎疾患いわゆる持病がなくても突然死が多く、乳幼児突然死症候群という病気の考えもあります。
 ヒブと肺炎球菌は乳幼児が保育園等の集団生活を始めたら、感染の可能性が高い細菌です。感染してもすぐには発病しないことが多く、何らかのきっかけで発病して肺炎、菌血症や髄膜炎になってしまいます。髄膜炎を発病する頻度は少なく、私も開業して8年が過ぎましたが、幸いまだ一人も経験していません。しかし肺炎や菌血症は1月に1ないし2人は経験します。入院加療をする子どもたちも決して珍しくありません。特に肺炎球菌感染は日常的な病気です。そのため予防接種が必要です。
 私のクリニックでも再開を待ち望んでいた保護者の方は多かったようです。現在の法律ではヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頚がんワクチンが公費で接種できるのは平成 24年3月までとなっています。その後も制度の延長されることを望みますし、今は任意接種ですが定期接種になることが望まれます。
 その他のワクチンではおたふくかぜワクチンと水痘ワクチンもぜひ接種しておきたいワクチンです。いずれも任意接種なので自費注射になりますが、保育園や幼稚園に通園する子どもは接種を勧めます。おたふくかぜは自然感染したら約1000人に1人は難聴になり一生耳が聴こえなくなります。これには治療法はありません。私もこれまで数人経験しています。難聴予防のためにも接種を勧めます。
 水痘も自然感染では全国的には年間20人位は亡くなっています。また発疹の跡が成人になっても残ることがあります。やはり接種を勧めます。またおたふくかぜも水痘も病気になったら園を1週間休まなくてはいけません。働いている保護者にはその間誰に子どもをみてもらうかが問題になります。職場との関係も問題になるでしょう。ぜひ接種を勧めます。
 最近は麻疹も日本脳炎も患者さんをみることがなくなってきました。それで一般の人々はそれらの病気は自然感染したら死亡することがある病気だという認識がなくなってしまいました。病気なったら治療すれば治ると思っているかもしれませんが治療法はありません。
 副反応ばかり問題視される予防接種ですが、一般の人々にもう一度その意味を考え直す機会が必要でしょう。しかしその機会がなかなかありません。小児科医が地道に話をしていくしかないようです。

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