2008年9月28日 (日)

悩む力

 9月3日のNHKラジオ「夕方ニュース」のなかで東京大学情報学環教授 姜尚中氏の悩む力の話がありました。
 日本や先進諸国では自由は拡大してしてきましたが、それに伴い自己責任が強く求められて孤立感を深めている人も多くいるのではないでしょうか。世界は猛烈に変化していてるため人々はその変化に合わせなければなりません。しかし不動の価値観ももたないとストレスが人を押しつぶしかねません。この問題は今に始まったことではありません。約100年前にすでにこの問題を真剣に受け止めていた人物がいました。姜尚中氏は夏目漱石とマックス・ウェーバーを取り上げています。私も学生時代には社会学者ウェーバーの「職業としての学問」は読みましたが、一般にはなじみが薄いかもしれません。夏目漱石も「我輩は猫である」「坊ちゃん」「こころ」などの小説は多くの人が読んでいますが、彼の文明論である「現代日本の開化」「私の個人主義」を読んだことのある人は少ないでしょう。私は学生時代にこの二つの論文(講演の記録ですが)を読んだときの驚きは今でも覚えています。まったくもって現代にも通用する漱石の思考の普遍性に感動しました。
 「私の個人主義」のなかで漱石はロンドン留学中に文学とは何か悩みぬいた後に、他人の文学論を基にする人真似の「他人本位」から文学の概念を根本的に自分の力で作り上げるよりほかにはないと「自己本位」へ思い至った遍歴を述べています。「自己が主で、他は賓であるという信念は、今日の私に非常の自信と安心を与えてくれました」と言っています。
 姜尚中氏も、喪失感のなかでも前向きに生きていくためには何が必要かという問いに、漱石の「自己本位」を引き合いに出して、基本的には身の丈で生きていくことだと答えています。「自己本位」とはエゴイズムではなく、自分を見失なはわないこと、そして応分の社会にたいする公共性や身の丈で人と交じり合おうとすることですとも言っています。
 また姜尚中氏は漱石のいう「まじめたれ」も引き合いに出しています。たとえば働ける人であれば、労働や働くことを通じて社会から認知されます。しかし認知される前には自分も誰かを認知しなければならない。真面目ということは相手を他者を引き受けることです。夫婦や恋人や友人などいろいろありますが、その人の全人格を相手が投げ出してもこれを引き受ける、また引き受けたいと思うこと。そして引き受けるということは相手をしっかりと信頼できなければいけない。また社会の人間関係がわずらわしいと思うことありますが、しんどいけれどそれを乗り越えなければいけない。しかしどこかで全人格的なものを引き受けられる関係が無いと乗り切っていくことは難しいのではないかと言っています。
 ところで人間関係を乗り切っていくエネルギーはどうやれば得られるのでしょうか。それには人間関係の中で自分を投げ出しす経験が必要です。傷を負いたくない、自分が辱めを受けたくないとか、かっこ悪いとか考えずに、自分を投げ出すことが必要です。それで裏切られることもあるのかもしれない、でも自分を投げ出さなければやっぱり他者も応答できないのです。自分を投げ出す勇気は結構大変ですが、最後はその小さな勇気が必要ですと言っています。
 悩むことを止めてしまうと、最悪、自殺や他人を傷つける凶行に走りかねません。すべてが自己責任だといわれる現代を生き抜くためには真面目に悩む力が必要だという話でした。

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2007年7月15日 (日)

乳児のスキンケア

 新生児は2ヶ月くらいまでは男性ホルモンの影響で皮脂腺の活動が活発です。そのため顔には赤ちゃんにきび(新生児ざ瘡)が、頭には脂漏性湿疹ができやすくなります。男性ホルモンが原因ですから、男児がよくなりますが女児でもなります。この場合は低刺激性の石けんを使ったスキンケアが重要です。スキンケアで少なくとも皮膚症状のそれ以上の悪化は防げます。ただし頭のスキンケアは石けんではなくシャンプーを勧めます。頭に石けんを使うとスカムができて、これが毛あなの入り口に付着してかえってよくないことがあります。スカムとは石けんと水道水が反応してできる「あく」みたいなものです。石けんを使った後の洗面器に浮かんでいる白いかすのようなものがスカムです。赤ちゃんも頭はシャンプーで洗ってください。

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