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2018年3月30日 (金)

ゲームなどネット依存

 2月27日、NHKラジオ第一放送の夕方ニュースで「ゲームなどネット依存の現状と課題」が取り上げられていました。
話は、国立病院機構久里浜医療センター 院長の樋口 進さんでした。
 インターネットゲームのし過ぎで日常生活に支障をきたす症状、いわゆるインターネット依存を今年、WHO(世界保健機構)が病気の国際疾病分類に盛り込みました。インターネットゲーム依存を病気と認定したわけです。
 日本では、2012年に厚生労働省が全国の中高生にネット使用状況を調査しました。その結果、ネット依存症が強く疑われる病的な使用と認定した人が518000人いました。また成人の調査ではネット依存傾向のある人が約420万人いることがわかりました。そしてその数は年々増加傾向にあります。スマートフォンの普及でゲームやSNS等の過度の依存が世界中で社会問題になっています。世界的にも10代や20代の依存傾向が強くてゲームのやりすぎで死亡する事例も発生しています。
 樋口 進さんは日本で初めてネット依存外来を2011年7月から開設し、今まで約1400人診ています。ゲームに限って「ゲーム障害」という名前で新しい診断ガイドラインにはいった病気には特徴的な3つの症状があります。
 一つはゲームのコントロールができない、ゲームの時間が減らせない、ゲームの時間が伸びてしまう
 二つ目はゲームが生活の一番の中心になっている。
 三つめはゲームによって問題が起きている、だけどなかなか減らせない、場合によっては増えたりする。
そのため依存によって明確な問題が出ます。学校へ行けない、成績が下がるということが明らかにあります。またこのような症状が12か月は続くことが診断の基準になります。しかし重症であれば必ずしも12か月続かなくても良いとなっています。
 ゲーム依存では、人が集まって一つのゲームをするオンラインゲームが一番多くなっています。夜の9時10時から始まり、明け方まですることが多いので、朝起きれない、学校や仕事へ行けず、引きこもりになったり、昼夜逆転になったりします。このことを親が注意すると本人は逆上して、親へ暴力をふるったり、家の中のものを壊したりします。
 健康への影響もあります。身体を動かさないので、体力の低下が明らかになり、また骨密度が下がったり、心肺機能が落ちたり。脳の神経細胞が過剰のゲームの使用で壊れるという報告もあります。ただしこの健康被害がゲームが悪いのか生活スタイルが悪いのかはまだよくわかっていません。
 韓国では86時間ゲームをした男性が死亡し、死亡事例が10件以上確認されています。でもゲームのやりすぎで死ぬとはどういうことでしょうか。それはエコノミークラス症候群と自殺です。ゲームのやりすぎでお金を使いすぎたり、生活の破綻を悩んで自殺する例があります。
 樋口さんの外来を実際に受診する患者は、2011年7月から約1400人で、男女比は6対1で男性が多く、半分は中高生で、7割が未成年者です。平均年齢は19歳でした。ネット依存にはいろいろあります。SNS、ポルノ、チャット、動画などありますが、90%はオンラインゲームです。
 ネット依存はギャンブル、アルコール依存症と同じ仕組みとわかってきました。これが疾病化された理由です。理性の脳といわれる前頭前野の働きが落ちてきます。ワクワク感を絶えず感じているとワクワク感を感じられなくなる報酬欠乏という状態になります。そしてワクワク感が欠乏しているのでさらに求めることになります。
 ネット依存は今までは定義がなかったので誰もが好き勝手なことを言っていました。しかしWHOが病気であると認定したおかげで、共通の土台ができたのでこの土台を基にして討論できるようになり、研究ができるようになりました。また診断ガイドラインができたおかげで研究は大幅に進むと思われます。
 オンラインの影響が大きい理由は、向こう側に人がいるからです。ゲームやろうよ誘われ、上手いねと褒められることが報酬効果になり、ゲームの中で自分が認められている喜びも加わり、ますますはまることになります。
 動画は男女ともはまりますが、SNSにはまるのは女性が多くゲームは男性が多い。なぜゲームにはまりやすいかは、一つにはネットに依存しやすい環境が言われています。ゲームを容認する環境たとえば親がゲーム好きの環境で育ったなどです。
 また現実社会のなかで居場所がないと思っている人、アイデンティティーが感じられない人もゲームの中で強くなったらそちらがよいと思うわけです。例えば現実社会で野球で有名になるのは困難だがゲームのなかで有名になるのは簡単なので簡単な方にいこうとします。
 またゲームと引きこもるには二通りあり、引きこもりからスタートしてゲームにはまる場合と、ゲームにはまって引きこもりになる場合があります。
 治療についてはWiFiやスマホを取り上げるのはほぼ無効です。本人たちの強い反発にあいます。本人達と対話をもって、本人たちに自分がおかれている状況を分かってもらい、本人達にゲームの時間を減らす辞めるのを決断してもらう、それを支援することが大事です。
 そのためにも全国にあるインターネット依存治療施設に行くことが大事です。本人が依存に気づいていれば行くかもしれませんが、気づいていない場合は反発するかもしれません。家族が大変な思いをして連れてくることも、場合によってはだまして連れてくることもありますが、どういう方法であっても病院に来て治療を受けた方がよいです。病院に連れてくる方法についても情報を提供しています。
 ゲーム依存は早め早めの対応が大事です。ゲーム依存の進行度はものすごく早く、場合によっては2か月3か月でひどくなります。もしうちの子が危ないと思ったらアクションを起こしてほしいと言っています。
 危ないかどうかの判断のひとつとして、依存度を図るためのテストを樋口さんは公開しています。ある程度の点数にあれば注意です。
ネット依存のスクリーニングテスト
http://www.kurihama-med.jp/tiar/tiar_07.html

 インターネットをする時間を増やすために家庭での仕事や役割をおろそかにすることがありますか
 インターネットで新しい仲間を作ることがありますか
 日々の生活の心配事から心をそらすためにインターネットで心を静めることがありますか
 インターネットをしているときにあと数分だけと言っている自分に気が付くことがあるか
 インターネットをしていた時間の長さを隠そうとすることがありますか
 依存行動とそれに伴う問題が明確にあるか、学校へ行けない、部屋にこもるなどあれば問題です。
 社会はどう取り組めばよいのでしょうか。学校にいくとゲームとかインターネットの話題が一番多くなっています。そこで学校の中でインターネットは便利だが依存があるということを教育に取り入れていくことが大事です。家庭でも保護者にその現実を理解してもらい、過剰にしているときはよく相談して時間を決めることも必要です。一日のなかで30分でも1時間でもよいので家族全員でオンラインんを使わない時間をつくることも大事です。そしたらみんなで話題が出たりして依存の予防になります。また使い始めるときに家族でルールを決めることも大事です。
 以前、テレビやテレビゲームが出てきたときにも子どもたちの依存が問題になりました。しかしテレビは一方通行でした。またテレビゲームはオフラインで一人でするタイプでした。そのためその世界以外のことで楽しいことを知ったら自然と依存はなくなっていました。しかしインターネットゲームはオンラインであることが最も違います。リアルタイムに対人が入るため依存性が急速に増えます。仮想空間の中での人へ依存してしまいます。
 どの依存でも言われていますが、早くから始めると将来依存になるリスクが高くなります。ところでアルコール、たばこ、ギャンブルには開始の年齢制限があります。しかしインターネットには年齢制限がありません。0歳からやっていることもあります。ところでインターネットの早期開始がどういうインパクトがあるかの研究はまだありません。今後はこれは大事なことでおさえておかないといけないことです。
 海外の取り組みでは、日本より一足早く社会問題化した韓国では全国18か所にネット中毒予防センターを設置し、未成年のネットカフェの出入りを禁止、16歳未満が午前0時から6時までネットゲームに参加できないシャットダウン制を定めています。社会をあげて取り組まないといけない問題になっています。
 日本でも早急な対策が必要ですが、先ずは実態調査で、どのくらいのインターネット依存の方々がいて、どのような問題があるか正確に評価しないといけません。また調査を学校でやってもインターネット依存で来てない子どもがいっぱいいるわけで、よく考えて調査しなければいけません。また学校での教育だけではなく、保護者、地域の方々に理解していただく社会全体の予防教育が大事です。
国立病院機構久里浜医療センター
ネット依存治療部門(TIAR)
http://www.kurihama-med.jp/tiar/index.html

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