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2018年2月27日 (火)

孤独担当相とイクメンブルー

 英国のメイ首相は1月18日に「孤独担当相」Minister for Lonelinessを新設しました。孤独担当相とはどういう行政の仕事をするのかと多くの人が思ったことでしょう。
 2016年6月、欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票の直前に、極右思想の男性によって殺害されたジョー・コックス議員(労働党)が「孤独は若者も老人も差別せずに苦しめる」と「孤独委員会」を発足させていました。
 メイ首相は「ジョー・コックス議員はこの国に広がる孤独の問題の規模を認識し、影響を受ける人たちのために全力を尽くした」と述べ、トレイシー・クラウチ下院議員(保守党)を初代大臣に任命しました。新大臣はコックス議員が立ち上げた、「孤独委員会」の仕事を継承し、孤独委員会や経済界、慈善団体と協力しながら、政府としての戦略を策定するそうです。
 英国は孤独を重大な社会問題ととらえています。
 
 2月20日、NHK Eテレの「ハートネットTV」で英国の「孤独担当相」を取り上げていました。番組の中では、イギリスの現状も語られていました。英国の人口約6500万人のうち900万人以上が孤独を感じているそうです。また高齢者で1か月以上家族や友人と話をしていない人は、約20万人もいるそうです。
 
 米国でも「蔓延する孤独」への対処は喫緊の課題という論文を公衆衛生局の元長官が発表しました
 
 深刻化する孤独に私たちはどう向き合えばよいのでしょうか。
まず「孤独」の定義を英国では、単に一人で時間を過ごすということではなく、「信頼できる人と、深い関係を築けていない。」という悲観的な気持ち つまり寂しさを感じるという心の問題としています。
 高齢者の約20万人が一か月以上家族や友人と会話なく、子育て中の親の5割が、孤独で悩んだ経験あり、若者では支援団体を利用した人の4割が、孤独を経験しています。また障害者の5割が毎日のように孤独を感じていて、介護者は身近な人の介護で、8割が孤独を経験しています。
 さらに孤独が健康に害を及ぼしているとして、孤独がタバコを1日当たり15本吸っていることに相当し、心疾患のリスクが29%高まり、認知症になる確率が1.6倍上がるとしています。その結果、経済への影響として約5兆円の損失になる恐れがあると言っています。
 
 日本ではどうかというと、1人暮らしの割合をみても、1980年は1人暮らしの割合は20%だったのが、現在では約34%になり、2040年には約40%になると予想されています。
 さらに驚いたことには10年前に15歳を対象にユニセフがおこなった調査で「孤独を感じる」という子どもの割合が日本がダントツの1位で約30%の子どもが孤独を感じていると答えています。2位のアイスランドの約10%を大きく突き放しています。
 子どもたちが既に孤独を強く意識している日本は孤独を社会問題として真剣に取り組まないといけないでしょう。
 
 話は変わりますが、「イクメン」という言葉がすっかり社会に定着してきました。父親も仕事を言い訳にして育児を母親に押し付けてはいけない、積極的に協力することが当然となってきました。それはもちろんよいことですが、その反面では、マタニティーブルーや産後うつ病ならず、イクメンブルーが問題になってきています。
 男性が育児を理由に仕事内容を変えることに理解ができない日本では、仕事と家庭の両立に悩み、メンタルの不調に陥り、育児中にうつ病になる男性がでてきています。“イクメン”という言葉にすごくプレッシャーを感じて追い詰められている男性たちがいます。このような男性は得てして真面目なので、育児に大変な妻にぶつけるということもできず、自分が頑張らなくてはと思いこみ、つらいと言えずため込んで、そして夜眠れなくなります。そして心療内科を受診してうつ病と診断され、休職せざるを得なくなります。こうした父親の心の不調は医療現場でも問題視され始めています。
 ところでイクメンブルーの男性の支えになっているのが近所のパパたちとのつながりのようです。家事育児のやり方や、妻には言いづらい悩みも相談できる「パパ友」を作ったことで、心に余裕が出てきた男性もいるようです。
 また子どもが生まれる前から、夫婦で予防しようという取り組みも始まり、神奈川県大和市では、出産育児で負担が増える妻に、夫が悩みを打ち明けにくい傾向があることを知ってもらおうと「プレ・イクメン講座」が開かれています。
 イクメンブルーも孤独がかかわっているようです。

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