« 赤ちゃんポスト | トップページ | pm2.5 レベル2 注意喚起発令 »

2017年6月30日 (金)

アトピー性皮膚炎と汗

 6月に東京で日本アレルギー学会があり参加してきました。たくさんの研究発表や討論会がありましたが、その中で興味深かったのがアトピー性皮膚炎と汗のシンポジウムでした。
 汗は99%が水ですが残りの1%の中にいろいろな成分が含まれています。電解質、尿素、乳酸だけではなくプロテーアゼ阻害物質や複数の抗菌ペプチドが含まれます。尿素と乳酸は天然保湿因子になります。汗のシステインプロテアーゼ阻害作用はダニ抗原などを失活する効果があります。セリンプロテアーゼ阻害作用はアトピー性皮膚炎の角層バリアの改善に貢献すると考えられています。
 発汗には安静状態で汗が分泌される不感発汗と、温熱負荷で汗が分泌される温熱発汗があります。不感発汗は皮膚の水分保持に、温熱発汗は体温調節に重要な役割を果たしています。アトピー性皮膚炎の患者では発症早期の段階で著明な発汗低下があることがわかりました。
 アトピー性皮膚炎でみられる不感発汗の低下は、汗管、汗孔の閉鎖のため、汗が皮膚の表面に出ることができないためです。その結果、発汗低下となり皮膚の乾燥をもたらします。そしてうっ滞した汗が汗腺器官から漏れ出て組織に異常反応を引き起こします。真皮内に漏れ出た汗は皮膚の炎症・痒みをもたらします。アトピー性皮膚炎は汗うっ滞症候群という全く新しい考えがでてきました。
 それではステロイド外用剤や保湿剤は発汗にどのような影響を与えるのでしょうか。ステロイド剤やワセリンは不感発汗を誘導せず。もっともよく用いられる保湿剤であるヘパリン類似物質は用量依存的に不感発汗を誘導することが明らかになったそうです。しかも同じヘパリン類似物質の保湿剤でも、o/wのクリームタイプのものがw/oのソフトタイプより発汗を誘導するという話でした。
 アトピー性皮膚炎の患者にとっては汗は増悪因子と考えられてきましたが、実は皮膚の改善に役立つ働きもしています。

|

« 赤ちゃんポスト | トップページ | pm2.5 レベル2 注意喚起発令 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 赤ちゃんポスト | トップページ | pm2.5 レベル2 注意喚起発令 »