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2013年9月23日 (月)

出生前検査 その2

8月29日の続きです。

(橳島)
ダウン症にはいろいろの病気の症状がある この出生前検査ではどんな症状がでるかはわかりません。

(司会)
検査の目のカウンセリングが重要ということですか。
(松原)
 検査結果が出てからでは遅いので、事前によく情報を理解し考えてほしい。
 今回の研究ではカウンセリングにあたって、日本産科婦人科学会が指針をだしています。何処の施設で参加しても、それに基づく説明がなされます。
 その中には、ダウン症といってもいろいろな方がいらっしゃる。障害をもっている持っていないで人の人生が決まる訳ではない。というところもガイドラインンには入っていますし、説明文書にも反映されています。
 ただし気になるのは、もしも陽性と結果が出ると たとえば10週で検査をして、だいたい2から3週間検査が出るまでかかります。10週では妊娠初期と言われて、残念ながら中絶となった場合には、掻爬(そうは)という形になり、その日のうちに帰れる手術を受けることになります。
 しかし陽性が出て確定診断まで待ちましょうという結果になった人の場合は、妊娠中期で羊水検査を受けて、中絶はそれからになります。人口流産といって、薬で人工的に子宮を収縮させてお産をすることになります。まだお産の時期ではないから難産になりやすいということもいわれています。育てないとわかっていても、お産をするわけで、普通の分娩と同じくらいの入院期間が必要となります。
 これは初期中絶と違って、手続きとしては死産というかたちなります。死産届を出し、火葬や埋葬の許可証を得るというかたちなって、かなり重い選択になります。
 ただしこういう中絶が実際にどういう形でおこなわれるかというのは、遺伝カウンセリングの範疇ではありません。遺伝カウンセリングはあくまでも胎児の状態について検査との関係を考えて情報提供をするだけで、それを受けたその次の段階はまた別になります。
 ただ先ほども言ったように、なぜ検査前の遺伝カウンセリングを重視するかというのは、たとえば陽性という結果になった場合に、その後、羊水検査ができる前の間 非常に苦しい時期があります。出生前診断の女性にとっての意味の研究が多くありますが、その中に「仮の妊娠」とい言葉があります。産めないかもしれないと思いながら妊娠をし続ける。実際は妊娠しているが仮というふうに自分に言い聞かせるようなこともあります。

(司会)
一番前のカウンセリングが重要だが、覚悟のうえでまずカウンセリングを受けて、その上で検査を受けなければ非常に精神的に負担が大きい。カウンセリングの時間、内容、女性一人ではなくで夫婦で聞いたほうが良いかと思うが。
(松原)
 夫婦でもよいこともある。カウンセリングは20分から30分が多い。
 みなさんインタ―ネットとかで予め情報をたくさん仕入れて、カウンセリング以前に、この検査に参加しようという段階で、ある程度自分の中で決心がついてることが多分多いんだと思っています。その決心をつけさせる材料が、メディアの報道だったりインターネットの情報だったりするわけです。もちろん家族の話し合いもあると思いますが。
 今回特に申し上げたいのは去年の8月にこの検査の報道が非常にセンセーショナルにされたけれども、誤解を非常に招いた可能性があります。3つ問題があると思います。
 第一に10週という早い時期に検査ができるこどが強調されましたが、確定診断は妊娠中期なので、その時に羊水検査の流産のリスクだとか、その時の中絶の重みがあります。
 それから99%精度でわかるとも報道されました。しかしこの精度というのは、陽性とでたら99%陽性だという意味ではありません。専門的な感度という概念も考えなければならいません。35歳の集団では陽性的中率といって、陽性なのが確かなのは80%といわれています。
 精度は非常に高い、早い時期にできる、今までにはない検査だという風に誤解された可能性があります。
 妊婦の血液で出生前診断をするというのは、母体血清マーカーテストという、精度は悪いがすでに診療として現場に入っているものがあるので、今度の検査が初めてのもではありません。
 まずは報道が、高齢出産の方が多くなっていることもあって、その人たちの関心にダイレクトに届けようとしたのかもしれませんが、結果として、非常に不正確な受け止められ方をするようなことになったのではないかと思っています。

(司会)
カウンセラーの役割が重要ですが、人材はそろっているのか。
(橳島)
 それに対して別な意味で危惧していました。カウンセリングというのは必要条件であるが十分な条件ではないと思います。カウンセリングは話し合いをして問題を把握するのであって、問題を解決することではありません。カウンセリングでは問題は解決できません。
 重い選択や決断の結果、その後どうなるか 妊娠を継続するのを止めるか止めないか、それぞれいろいろな手当てを受けなければいけません。医療を超えて保健や福祉などの具体的な支援につないでいく、それが本当の問題の解決なのです。カウンセラーはそれが仕事ではないので、そういう医療保険福祉の具体的な支援につないでいくことを専門にする職種が医療の現場にはいます。それは医療ソーシャルワーカーといわれます。
 今、検査を行っている限られた医療機関で医療ソーシャルワーカーがこの検査を受ける前・後にきちんとかかわっているのでしょうか。カウンセリング体制が整っているかというチェックしかされていないが
具体的な支援につないでいく専門職がかかわっているかということをチェックポイントにして、必要な手当てに連携していく体制を確立することが重要と思っています。

(司会)
今は臨床研究の段階だがこれは一般医療に発展するのか。そんためのハードルにはどのようなことがあるのか。
(橳島)
 結果が悪ければ、これはあまり普及させることは止めましょうと決断するべきです。それは専門医の先生の責任です。結果がよくて初期の目的が達成られそうであれば、その先をどうするかということ、次の課題になると思います。

(司会)
妊婦の方へのアドバイスあればお願いします
(松原)
 悩むのは当たりまえ、軽々しく中絶をするなと言いますがそんな人は一人もいないと思います。ですからこれまでいろいろな経験を本にしているかたもいらっしゃるので、ぜひそういったものもご覧になって、ご家族で考えていただきたいと思います。

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