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2012年12月31日 (月)

2012年を振り返って

 今年は病気の子どもが減りました。昨年も書きましたが、高熱が続き、血液検査で白血球数とCRPの値が高くなる、細菌感染の患者さんが減りました。この場合の細菌は子どもでは多くが肺炎球菌です。その患者さんが減ったということは、やはり肺炎球菌ワクチンの効果と思います。
 今までは、保育園などで集団生活を始めたら、半年以内には発病はしなくても、その集団いる子どものほとんどが肺炎球菌に感染していました。しかし肺炎球菌ワクチンの接種が始まった後は、ワクチンを接種した子どもが肺炎球菌になるリスクが大きく減るだけではなく、集団の多くの子ども達が肺炎球菌ワクチンを接種すれば、集団の中に肺炎球菌の保有者が減ってきて、その結果ワクチンを接種していない子も感染するリスクも減ってきました。さらに高齢者の肺炎の原因菌も肺炎球菌が多いのですが、子どもの菌の保有率が減れば、孫から感染する、おじいちゃん、おばあちゃんのリスクも減ってきます。子どもの肺炎球菌ワクチンの接種率が上がれば、高齢者の肺炎球菌の肺炎が減ることは海外では証明されています。
 肺炎球菌の病気が減ったので、当院の外来診療での抗生物質の使用量が極端に減りました。
 約80種類の型がある肺炎球菌のうち、病原菌としての頻度の多い7種類の型に対するワクチンが、今の肺炎球菌ワクチンです。しかし海外ではすでに13種類の型に対するワクチンが一般的で、日本でも2013年夏ごろからようやく13価ワクチンが導入されるという話がでています。13価ワクチンが導入されたら、中耳炎、肺炎、菌血症の患者さんがさらに減り、肺炎球菌の髄膜炎は皆無になるかもしれません。私にとっては今年はワクチンの効果がこんなに大きなものかと実感させられ、タミフルの登場以来の時代の変化を感じた年でした。
 昔は子どもも大人も生きながらえていくことが大変でした。一年を振り返り、無事に生きてこれたことを感謝し、新しい年も病気にならないよう祈るのが、明日のお正月だったと思います。今はワクチンで病気に罹らず、新しい薬や治療法で病気は治せるのが当たり前と思っている人が多いようですが、今一度古人にならい、生きていられるありがたさをお正月に思ってみてはいかがでしょうか。そしてよいお年をお迎えください。

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