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2012年11月30日 (金)

ノロウイルスの検査

 冬になると感染性胃腸炎になって嘔吐や下痢でつらい思いをする人が多く診られます。一般に言われる嘔吐下痢症です。メディアはノロウイルスといって、どこそこの病院で集団感染したとか、お弁当から集団感染とかセンセーショナルに伝えています。そのせいか、外来でも「胃腸炎ですね」とお話をすると、「ノロウイルスですか」と良くきかれます。そういう場合は「ノロウイルスの可能性は高いです。でもノロウイルスでなくても他のウイルスが原因でも注意しないといけないことは同じです」とお話をしています。また「ノロウイルスかどうか検査をしてください」と言われる人も時々いらしゃいます。特に食品関係の仕事をしている人や介護職の人に多いようです。どうも会社から検査するようにと言われているようです。時には学校から言われてくる人もいます。
 ノロウイルスの検査には大きく2つあります。一つは下痢便を検査センターに提出して、遺伝子の検査(リアルタイムPCR法)をします。精度は高いのですが、数日かかり、また保険適応外なので自費で約1万円かかります。またノロウイルスは遺伝子の変異がおこりやすいので検査する遺伝子が変異したウイルスなら、感染していても陰性の結果がでることがあります。
 もう一つは病院や診療所で出来る検査です。インフルエンザの検査のような迅速検査で、下痢便を使っておこないます。結果はすぐにでます。イムノクロマト法と言いますが、この検査も3歳から64歳までは保険適応外で、自費で約2000円かかります。この検査は便を使うので、嘔吐だけで下痢がない場合には検査ができません。胃腸炎は最初は嘔吐だけの場合が多いので病初期の診断はできません。またウイルスが便の中にいても検査結果が陽性にでないこともあり、陰性だからといってもウイルスが感染していないことは否定できません。これは検査手順の問題も多いのですが、まだインフルエンザの迅速検査と同じ意味合いでは診断に使えません。最近になって、下痢がなくても検査できるキットがでましたが、精度はどうかと思います。
 以上の理由で、私はノロウイルスの検査は外来ではおこなっていません。ノロウイルスとわかってもインフルエンザとは違ってウイルスを殺す薬はありません。ノロウイルスではなくても胃腸炎を起こすウイルスはどれでも要注意です。今年はノロウイルスは遺伝子が変異したタイプが見つかっています。わずかな遺伝子の変化でも、今までのノロウイルスへの体の免疫の効果が低くなります。それが新たな流行につながります。検査は結果が陰性に出てしまうこともあります。一番危険なのは、検査が陰性だったとして安心してしまうことです。検査を重視することは問題です。胃腸炎の感染には注意し、感染したら医師の指導を受けてください。

 厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」はこちらです。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

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