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2011年5月31日 (火)

食物アレルギーの新しい概念と治療

日本アレルギー学会に行ってきました。
 小児科分野での最近の話題は、乳児の食物アレルギーの原因と治療です。
 食物アレルギーは口から食べた卵などにアレルギー反応をおこして蕁麻疹などがでます。その原因は例えば、母親が食べた卵の成分が母乳を通して赤ちゃんの体内に入り、アレルギー体質の赤ちゃんでは卵の成分にアレルギー反応をおこす準備(感作と言います)ができると考えられてきました。その結果、その後に赤ちゃんが卵を食べたら、蕁麻疹や湿疹などのアレルギー反応が出てくると言われてきました。感作されるところが消化管で、アレルギー反応が出るのが皮膚というわけです。
 最近、これとは異なる意見が出てきました。食物アレルギーの感作がおこる部位は、消化管でではなく、湿疹などの皮膚の荒れた部位だというのです。口から食べて消化管で感作されるのではなく、口の周りなどの荒れた皮膚から食物成分に感作するというのです。
 この考えのもとには食物耐性という理論があります。人は病原菌などの自分から見たら異物が体の中に入ってきたら、免疫などを使って排除しようとするのに、異物である食べ物が体に入ってきたときには排除する反応が起きません。これを(食物)耐性といいます。耐性というのは異物を排除する働きを抑えてしまう体の機能です。食物の耐性は消化管でおきます。
 感作する部位が皮膚なら、食物アレルギーの感作を予防するためには、アレルギーの原因になる食物を除去するのではなく、皮膚の湿疹の治療をしっかりすることになります。しかもアレルギー食品はこれまでとは逆に、食べることで耐性を誘導して蕁麻疹などのアレルギー反応がおこらないようにするということになります。
 最近、この理論を裏付けてしまう事例がありました。「茶のしずく石鹸」を使っていた人が、運動をした後にアレルギー症状を起こしたとの報告が相次いました。これは石鹸が小麦成分を含んでいたため、長く石鹸を皮膚に使うことで、皮膚で小麦アレルギーに感作してしまい、後日、うどんなど小麦食品を食べた後に直後に運動することでアレルギー症状を起こしてしまいました。食物アレルギーが皮膚で感作されることを証明したのです。今はこの石鹸からは小麦成分は除かれています。
 アレルギー専門の大学病院や総合病院では、重度の卵アレルギーの子どもたちに、卵を短期間で連続的に食べさせて、耐性をつけさせる治療がされています。これからの食物アレルギーの概念と治療は変わっていくことになるでしょう。

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