« 2010年5月 | トップページ | 2010年8月 »

2010年7月30日 (金)

予防接種の同時接種

 最近は、従来のワクチンに加えて、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンなどが認可されて、予防接種の種類と接種回数が多くなりました。そのため複数のワクチンの同時接種を希望される保護者が増えてきました。ワクチンの同時接種は法的には認められています(明文化されているのは定期と定期のみ。定期と任意、任意と任意についての規定はない)。私のクリニックでも2種類のワクチンの同時接種はめずらしくありません。3種類のワクチンの同時接種もおこないました。同時に接種すればクリニックに来る回数も減らせます。また予防接種のスケジュール自体も早く終わらせることができます。米国では6種類くらいの同時接種はめずらしくありません。自費のワクチン同士、または定期(BCG、三種混合、MR、日本脳炎など公費でうけるワクチン)のワクチン1種類と自費のワクチンの同時接種は問題ありません。ただし定期のワクチン同士の同時接種については、自治体によっては望まないところがあります。定期のワクチンは自治体が接種に係る費用をだしています。この費用の計算には、初診料+ワクチンの代金+手技料などが算定されています。ここで定期のワクチンを複数同時接種して、医療機関が自治体にワクチン本数分の接種費用を請求すると、自治体によっては接種費用に含まれる初診料の二重取りになると主張して、定期接種の同時接種は認めない自治体があります。一般診療の初診料の二重取りは許されませんが、予防接種の費用の中のそれは初診料相当の意味合いしかありません。接種する現場ではワクチンの数だけ説明も必要になります。自治体の負担が増えるわけではなく、接種をうける子どもたちや保護者の利便性をもっと考えてもらいたいものです。法規の解釈にこだわるのではなく、こういう点にこそ某与党のいう政治主導とやらを発揮してもらいたいものです。
 同時接種でもうひとつ考えておかなければならないのは、副反応があったときの救済制度です。予防接種の救済制度には、定期接種には予防接種法に基づく手厚い救済制度があります。しかし任意(自費)の予防接種の副反応の救済にはこの制度は適応されません。この場合は一般的な薬による副反応の救済制度が適応されます。この制度による救済は、予防接種法による救済に比べると救済額もかなり低くなります。では定期と任意の予防接種を同時に接種して障害を残すような副反応が起きた場合、どちらの制度が適応されるのでしょうか。この場合、二つの救済制度を両方は請求できません。法規の既定はありませんが、予防接種法に基づく手厚い救済が優先されるようです。

| | コメント (0)

« 2010年5月 | トップページ | 2010年8月 »