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2010年5月30日 (日)

多文化社会の子育て

私のクリニックでも、海外から来て子育てをしているお母さん方がみえられます。
5月26日NHKラジオ夕刊で、情報教育研究所所長 山岡テイ氏の海外から日本にやってきて子育てをしているお母さんたちの話が放送されました。
日本に住む登録外国人は220万人あまりで、それにともない多様な文化的背景を持った人々が子育てをしています。
山岡さんはこれを多文化子育てと名付けてその実態を調査しています。
山岡さんが多文化子育てに関心を持つきっかけは、保育所や学校で、多文化な保護者と先生との間で言葉の壁とか育児文化の違いからお互いにいろいろな行き違いが多くなってきたことがあります。そこで多文化な家族を抱える園や自治体に協力してもらい、その実情を調べ始めました。
多文化子育てとは本来は多文化な背景を持つ家庭での子育てということで、民族・国籍・宗教の違いだけではなく、広く心身発達の個人差、異なる背景で育った、祖父と孫などの世代間の価値観の違いも含めて広い意味でも多文化は使えます。様々な文化背景や個人差を受け入れながら供に子育てをしていきたいと願ってこの言葉を使っています。
多文化子育てをしている家庭は、父親が日本人の場合、母親はフィリピン、中国、韓国、朝鮮、タイ、ブラジルの順で多く、毎日の子育ては母親が育った育児文化の影響を強く受けています。
日本の人口の約60人に一人は多文化子育ての背景を持った子どもたちで、横浜、群馬、山梨など多くの外国人が住んでいる地域では学校保育所のクラスの1割以上が外国人というところもあります。
10年前の65ヵ国籍2002人のアンケート調査の結果で明らかになったことは、
一つ目は、国籍を超えて多文化な親に共通する悩み。
二つ目は、両親が供に外国籍で日本に短期間だけ滞在する家族からは、育児や生活の地域情報を知りたい、日本の子育て習慣への戸惑いでした。
一つ目の共通の悩みや気がかりとは、
1位は、母語教育や母国の文化を学ばせたいとう、子どもの将来のことを考えてのアイデンティテイの問題でした。
子どもの日本語が上手になり、母語より上手くなると親がストレスを抱えてくる。親子のコミュニケーションが取れにくくなり、子どもも母語を学ぶ意欲がなくなりコミュニケーション手段が途切れること。子どもが母国へ帰っても日本語しか使えなくなってくることでした。
また小学校へ上がると、日本語は話し言葉だけでなく学習言語になるという壁が立ちはだかってきます。
病気や怪我の心配もありました。多文化の母親の多くがパートタイマーで働いています。子どもが病気になったときに預ける親戚や友人が近くにいないので、こういうことが度重なると仕事を止めざるをえません。多文化な家庭では失業の問題が深刻化しています。
日本の子育ての習慣への戸惑いでは
1位、幼稚園や保育園の保護者の32%がいじめを挙げています。日本人は肌の違う子どもと生活することに慣れていないこともあります。
2位、裸足保育・薄着の習慣が27.5%でした。室内でも靴を履いている、薄着をさせない国の親はなじめないようです。
その他には、日本の言葉や食べ物に慣れすぎる、園での参加行事が多い、親が準備するものが多いなどでした。
また、近所のお寺や神社に遊びに行ったり、クリスマスをしたりなど宗教上での説明を保護者に事前にしてほしいという意見が多いようです。これには、日本人には宗教的な色合いに感じない、七夕・豆まきなども含まれます。日本には神社にたくさんの神様がいて、神棚のあるところでもクリスマスをしたりします。こういうことは一つの宗教を生活の信条にしている親からしてみると戸惑います。神社に園児を連れて行くときは鳥居をくぐらないなど園も配慮しています。
文化的な溝ばかりではなく、いい面もたくさんありました。
全体としては通園させてよかったという意見が多く、同じ年齢の子どもと遊べる(90%)、親が労働や勉強の時間が持てる(70%)、園の先生が相談相手、親同士が知り合いになれるという結果でした。園生活が子育てで重要な役割をはたしているようです。
最後に、隣人である私たちが、社会的な広がりの中で多文化子育てをどう捕らえていったらよいのか、どう取り組んでいったらよいのか。
それには、園や学校地域で多言語の通訳ボランティアを増やすために、自治体の多文化子育て支援と連携して縦や横のネットワーク造りをすること。母親向けの日本語教室や子どもの学習言をサポート、母語教室も必要です。
また、地域で多文化祭りやイベントを企画すると、多文化の母親たちが料理をつくるとか、手づくりのものを出すとかして、母親たちの活躍の場を与えることで、私たちもそこから学んで交流できることが重要と思っているという話でした。

多文化子育てネットワーク
http://www.tabunkakosodate.net/

世界の多文化子育てと教育
http://www.aiiku.or.jp/aiiku/jigyo/contents/tabunka/tb0303.htm

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