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2009年11月30日 (月)

できるのか、日本版ACIP

 11月21日の毎日新聞の夕刊にACIPの記事がありました。
 米国にはワクチンの政策を提言する「ワクチン接種に関する諮問委員会(ACIP)」という組織があります。未承認のワクチンも含めワクチンの有効性や安全性の評価もおこなっています。ACIPは検討結果を米厚生省などに勧告します。このACIPの勧告が、接種をするワクチンの種類や接種スケジュールなどのワクチン政策を実質的に決めています。構成は製薬会社と利害関係がない専門家ばかりでなく、ワクチンを接種される側からも選出、任命されます。米国では専門家集団が直接ワクチン政策に関与しています。
 日本にも厚労省の諮問機関で「予防接種に関する検討会」がありますが、厚労省が求めた事項を検討できるだけで、米国のACIPのようにワクチン政策の提言はできません。日本のワクチン政策は厚労省のワクチンの有益性よりは副反応を過剰に問題視した視点で決められていたといってもよく、専門家が政策に関われなかったため、今日、日本のワクチン政策が海外に比べて20年遅れるという結果を招いてしまいました。
 しかしこの度、厚労省が予防接種行政に提言する専門家組織の新設へ向け検討を始め、来年度予算の概算要求で研究費約1500万円を計上したようです。小児科医らが長らく待ち望んだ日本版ACIPがようやく作られようとしています。
 米国では小児に接種をするワクチンが13種類ありますが、日本は麻しんなど6種類だけ。髄膜炎などを防ぐため1980年代から世界で普及したインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチンの承認は2007年と遅れ、水痘(水ぼうそう)や肺炎球菌ワクチンと同様に無料で受けられる定期接種にはなっていません。
 日本版ACIPができれば今回の新型インフルエンザのような新たな病原菌に対するワクチン政策も一貫性をもった方針を持つことができるでしょう。この予算が仕分け作業で削減されないことを祈ります。
 もっと詳しく知りたい方は、神戸大学大学院・感染症治療学の岩田健太郎教授が週間医学会新聞(第2857号2009年11月30日)に寄稿した「予防接種行政に必要なのは日本版ACIP」をご覧ください。

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2009年11月 3日 (火)

正しい体温の測り方

10月31日の東京FM系列の番組「AVANTI」で、日本の医療機器メーカのテルモ体温研究所所長の和田優子さんが「体温」について話をしていました。 
体温を腋の下で測るときの正しい計り方は

①体温計を下から腋に突き刺すような角度で入れること。
②挟んだ方の手のひらを上に向けると脇が締まるのでなお良いこと。
③空いている手で肘をぐっと身体に引き寄せれば完璧。

そうやって計ると0.3~0.4℃くらい違そうです。
 
また電子体温計の「ピピッ」と鳴る音の意味も器機により意味が違うので要注意です。
「ピピッ」が終了の合図の電子体温計と、「ちゃんと計測できています」という合図の電子体温計があります。
前者は「予測式」で、後者は「実測式」と呼ばれます。
体温を正しく測るためには、低い温度の電子体温計の計測部分が腋の下の体温と同じにならなければいけません。この温度を「平衡温」といいます。このとき初めて正しい体温が測定できます。時間的には約10分かかります。平衡温になるまで10分かけて測る体温計が「実測式」です。
しかし忙しい現代人はその10分が待てません。そこで開発されたのが「予測式」の体温計です。これは体温計を腋の下に挟んでから、体温計の計測部分が体温で暖まっていく速度等から体温計内部のマイクロコンピュータが計算して体温を予測値として表示するものです。30秒から90秒ほどで体温を表示します。

日頃の診療の中で子どもの体温がいつも低いとか、今日は体温が35℃台でしたという話がありますが、体温が低く測れたときはもう一度、正しい測り方で測りなおしてみてください。

体温を測るということ(テルモ体温研究所)

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