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2009年1月31日 (土)

今年もインフルエンザで考えさせられる今日この頃

 今年はインフルエンザの流行が例年より早く、1月末の今がピークのように思えます。今年のAソ連型はタミフルが効かない耐性ウイルスです。診療の現場でも昨年まではタミフルを内服してもらえば2日以内に熱は下がっていたのに、今年はA型の患者さんの中にはタミフルを内服してもらっても、内服しない場合と同じ自然経過のような熱の動きをする患者さんが多く診られます。タミフルに耐性のウイルスの存在を実感させられます。そのため今のところはAソ連型にも効果のあるリレンザの専用吸入器を使える年長児にはできるだけリレンザを処方しています。
 インフルエンザは健康な小児ならタミフルなどの治療薬を使わなくても自分の力で治せる病気だと強調する意見があります。確かに途中の経過はきつくても最後は自分で治せる病気です。中には治療薬なしで熱もすぐに下がって元気になる子どもも多くいます。しかし全例が軽く済むわけではありません。
 以前、インフルエンザの迅速診断キットがなかった頃は高熱でぐったりしている重症感のある患者さんだけをインフルエンザと診断していました。ところが診断キットが使えるようになって、インフルエンザには軽症から重症までいろいろな病態があることがわかってきました。熱のないインフルエンザの患者さんもをけっこういます。軽い症例も含めて多くのインフルエンザを診断できるようになったので、治療薬は使わなくても治るという考え方が強調されるようになったのでしょうか。私はインフルエンザは決して軽視してはいけないと考えます。
 昔はインフルエンザで老人だけでなく子どもも若者も亡くなっていました。私は今年、インフルエンザから細菌性の肺炎を併発した幼児例をすでに複数経験しました。入院されたお子さんもいらっしゃいました。いずれもタミフルは内服していませんでした。抗生物質が使えない時代ならそのまま命を落としていたかもしれません。現代でも老人では肺炎を併発したら命にかかわります。今では多くの病気が治せたり、治療で軽く済むようになって、また診断技術の発達で病気の概念が変わってきたりしたため、病気本来の怖さを多くの人が忘れているのではないかとついつい思ってしまう今日この頃です。

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