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2008年12月31日 (水)

この1年を振り返って

 今年のはじめは昨年3月のようなインフルエンザの短期の大流行は無く過ぎました。
 糸島地区では4月からBCGの個別接種が始まりました。子どもたちにとっては接種の機会が増えたことはよかったと思います。しかしBCGのワクチンは紫外線に大変弱いため、接種する部屋には直射日光が入らないようにしなければなりません。また針の打ち方にも独特の技能を必要とします。接種後も接種部位が乾くまで院内で経過を診なければなりません。接種する側からいうと手間のかかるワクチンです。そのため私のクリニックでは1日に2人しか予約枠が作れずにご迷惑をかけたかもしれません。
 今年は夏にRSウイルスの大流行がありました。かぜの一種ですが高熱が続き咳がひどくなり気管支炎や肺炎を引き起こしやすいウイルスです。特に乳児では症状が重篤になりやすく、1割から2割が入院になります。いつもは年末の寒い時期に流行するウイルスですが今年は夏に猛威をふるいました。保育園や幼稚園に通っている兄や姉から感染した乳児が多く診られました。入院まで至る児は親御さんの看病の努力もあり何とか最小限にできたかと思います。余談ですがRSウイルスの検査は外来では保険請求ができません。そのため小児科医は患者様に対しては無料で検査をしています。
 年末になってようやくインフルエンザ桿菌タイプb型のワクチン(Hibワクチン)、商品名アクトヒブが発売になりました。昨年末のこのブログでは製造元のフランスの製薬会社は日本向けに特別仕様のワクチンは作らないだろうと書きました。ところが日本仕様の工場まで作って生産を始めたそうです。しかし日本の過剰なまでの制度管理を求める基準のため生産量が極端に少なく、当初はワクチンの供給不足が心配されました。そのため日本の販売会社はクリニック1軒あたり3名までとする制約をしました。しかしその後は希望者全員にワクチンはいきわたるようになりました。私のクリニックでも希望者全員に1月から接種ができます。Hibによる髄膜炎や口頭蓋炎で重度の後遺症や亡くなった子どもたちの経験は私にもあります。決して稀な病気ではありません。海外では20年前から接種されているワクチンなのに、導入が遅れた日本ではその間に多くの子どもたちがHibのために亡くなったと思われます。それを思うと無念です。
 今日は2008年最後の「本日の独り言」です。みなさん良い年をお迎えください。

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