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2008年10月26日 (日)

病院の言葉

私のクリニックで診察を受ける患者さんは、私の説明をどれくらい分かってもらえているのでしょうか。
患者さんの顔を確かめながら病気の説明をしても、いつもどうかなと思ってしまいます。
医師の話には専門用語が多く、また医療界独自の言葉の言い回しもありわかりにくくなっています。
そこで、とうとう公的研究機関がこの問題に取り組み始めました。
10月21日に独立行政法人国立国語研究所が「病院の言葉」を分かりやすくするための提案を発表しました。
http://www.kokken.go.jp/byoin/
まず医師へのアンケートなどで約2万語を集めて、その中から患者さんが正確に意味を把握したほうがよいと思われる57語を選びました。
具体的には
「別の言葉に言い換えるべき」言葉として誤嚥、浸潤、寛解、重篤などの13語。
「補足説明すべき」言葉として頓服、合併症、ショックなどの35語。
「新しい概念として普及させるべき」言葉としてセカンドオピニオン、プライマリーケア9語を選びました。
それぞれの言葉がどのように誤解される可能性があるかや、最低限説明すべきことなどをの用例を示しました。
「頓服」は痛み止めの薬や解熱剤そのもと思い込んでいる人も多いようです。本当は、「決まった時間でなく、症状に合わせて必要なときに飲むこと」です。ちなみに「解熱剤」を「かいねつざい」と読んでしまう人もいます。
「ショック」は急な刺激ではなく「血液の循環がうまくいかず、脳や臓器が酸素不足となる危険な状態」です。
「貧血」は「立ちくらみ」ではなく「血液の赤血球が少なくなった状態」をいいます。
杉戸清樹国語研究所長は「医師らは患者に説明する際、言葉の意味が正しく伝わっているか立ち止まる姿勢をもってほしい」と話していました。
私もその通りだと思います。よく病気の説明のリーフレットをみますが、その内容は医療関係者は理解できても一般の人にはどれだけ理解してもらえるかと疑問に思えるものがほとんどです。医師がどんなに噛み砕いて説明したつもりでも、それはあくまでも医師の思考範囲の言葉なのです。一般の人にはわかってもらえません。
私はクリニックのリーフレットを作ったらまず、医療知識のない人に読んでもらいます。すると大概、意味がわからないという答えが返ってきます。それで数回の見直しをしてもらってから初めて患者さん渡せる内容になります。
国語研究所は来春「病院の言葉の手引き」(仮称)を出版の予定です。

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