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2007年8月23日 (木)

「けが」をしたら

 「けが」をしたら、まず消毒、そして傷口をガーゼでおさえる。そしてこの処置を「付け替え」といって毎日繰りかえす。それが今までの「けが」への対処法でした。
 このやり方は間違いだとする考えがあります。そもそも「けが」をして皮膚が傷ついたら、皮膚自体に再生能力があるわけで、そこに消毒をすると再生しようとしている皮膚の組織を傷めるというものです。さらにガーゼで傷口をおさえるとガーゼが傷口の水分や皮膚の再生に必要な成分を吸収して傷口を乾燥させます。そのことがさらに皮膚の再生を阻害します。さらに「付け替え」をすると、ガーゼの網目が傷に食い込み,ガーゼを剥がす時に出血します。そのため治りかけた傷をさらに悪化させてしまいます。
 新しい「けが」の治療は、最初に傷口を水道水でしっかり洗います。日本の水道水には細菌はいませんから、医療用の無菌の生理食塩水を使う必要はありません。傷口に小さな砂が入っていたら、歯ブラシを使ってしっかり洗い落とします。砂はしっかり落としておかないと後で「しみ」のようになります。そして傷口にうるおいを与えて皮膚自体の再生能力を高めるために湿潤環境を提供して創治癒を促進する創傷被覆材をつかいます。
 この新しい考え方を裏付けるように、街のドラッグストアでも、けがのうるおい治療用にカットバンを作っているジョンソンアンドジョンソン社が「キズパワーパッド」を売り出しています。
 この「新しい創傷治療」「さらば消毒とガーゼ」を提唱しているのは夏井睦氏らです。詳しいことは夏井氏のホームページをご覧ください。http://www.wound-treatment.jp/

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2007年8月15日 (水)

予防接種の運用の変化

 「厚生労働省の検討会は10日、複数の疾病を予防するための混合ワクチンについて、対象疾病に罹患した経験がある人も定期接種を受けられるようにすることを決め、省令を改正する。」という記事が共同通信から流れました。今までは例えば、百日咳に罹ったことがあれば三種混合(DPT)ワクチン(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)は接種できませんでした。以前は百日咳に罹った子どもには二種混合(DT)ワクチン(ジフテリア、破傷風)を接種できたのですが、数年前に省令が改正され三種混合ワクチンの1期から二種混合ワクチンが削除されてしまいました。
 医学的には罹ったことのある病気のワクチンを接種しても問題はおこりません。さらに免疫が高まります。しかし今までの症例では禁じていました。今回の改正で百日咳に罹った子は三種混合ができなかったという現場の問題がひとつ解決されました。
 予防接種のあつかいについては、4~5年まえから厚労省の見解がよくかわりました。
 まずは異なる種類の予防接種の接種間隔の問題でした。例えば三種混合などの不活化ワクチンを接種した後は1週間あけるというのが決まりです。以前は水曜日に接種したら次の週の水曜日に接種していました。しかしこれに厚労省がクレームを付けました。法律的に1週間とは次の週の木曜日であると言い出したのです。そして次の週の同じ曜日の接種を禁じました。医学的には1週間あける必要はありません。間隔の基準は役所の決まりごとです。一般人の感覚では1週間は次の週の同じ曜日です。これを役所に認めてもらうのに数年かかりました。現在は省令で6日空けるとなりました。これなら次の週の同じ曜日に接種できます。現場の指導も元のようにやりやすくなりました。
 次の問題が三種混合の1期の接種間隔でした。1期の初回接種は3回しますが、以前はこの間隔に制限は設けていませんでした。極端にいえば1年あいても違反ではありません。しかしこれを8週間以内に行わないと公費の接種としないと厚労省が言い出しました。冬などは風邪をひいたりして接種間隔が8週間以上あくこともあります。全国の自治体の中にはこの省令を実直に守って8週間から外れたら公費の接種と認めなかったところもあるようです。しかし自治体の中にはこの省令があまりにも現場を無視しているとして眼をつぶったところもあるでしょう。これも後で病気等のやむを得ない場合は8週間以上も認めるとして、運用の実質は元に戻りました。
 なぜ現場を混乱させるだけの省令をここ数年出し続けたのか。そしてそれが最近になって現場の運用に支障のでにくい、元の形に近いものに戻ったのか。これは私の推測ですが、厚労省の予防接種の担当官が代わったからでしょう。現場を無視して法律の解釈ばかりにこだわる人からそうでない人に代わったのかもしれません。「木を見て森を見ず」が上にいると現場は困ります。

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