« 2006年11月 | トップページ | 2007年1月 »

2006年12月31日 (日)

テオドールの話題

 テオフィリン(テオドール等)は喘息の治療薬として20年以上の歴史があり、日本では80%以上の喘息患者に使用されています。最近は喘息予防の新しい作用機序も見つかり再評価されている薬です。しかし薬の血中濃度が高くなると気分が悪くなったり、頭痛がしたり、ひどい時はけいれんを引き起こすことが以前から指摘されていました。これを”テオフィリン関連けいれん”ということがあります。そのため特に小児に対して処方するときには細心の注意をして薬の量を決めています。最近、テオフィリンの使用中に神経学的な合併症の認められる症例が特に非専門施設を中心に報告されました。テオフィリンはけいれんを引き起こすから使用すべきでないとの意見がでて、そのことをマスコミが大きく報道しました。その結果こどもの喘息治療の現場で混乱がでてきました。そこで「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」を作っている日本小児アレルギー学会が喘息の薬の適正使用ガイドライン及びその根拠を2006年3月に発表しました(これは厚生労働省の研究になります)。
 その中で2歳未満の乳幼児について、喘息を発症しないようにコントロールするための薬としてテオフィリンを投与する際に考慮することとして、
・テオフィリンは喘息発作が週1回以上ある患者に考慮する追加治療のひとつである(このレベルの主な治療はステロイド吸入です)
・ 6 カ月未満の児は原則として投与しない
・ 6カ月以上でも、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患がある児には投与しない
・ けいれん性疾患の家族歴を有する児への投与は注意が必要である
・ 発熱出現時には、一時減量あるいは中止するのかをあらかじめ指導しておくことが望ましい
・ テオフィリンの血中濃度を上げる薬との併用に十分注意する
などです。
 テオフィリン関連けいれんは5歳以下に発症することが多いといわれています。2歳から5歳までは小児喘息の治療に精通した医師の下での投与が望ましいとされています。専門家も乳幼児へのテオフィリンの投与を禁止しているわけではありません。けいれん等の副反応がおきないように治療に精通した医師が投与することは問題ありません。
 テオフィリンは喘息の長期管理薬として有用です。吸入ステロイドでコントロールが困難なとき、ステロイドの増量よりはテオフィリンの併用が効果が高いとする研究もあります。テオフィリン服用中の小児のけいれん出現率は内服していない児におけるけいれんの出現率と差がないとする研究結果もあります。
 私は一部の意見で良薬を闇に葬ってはいけないと考えます。テオフィリン関連けいれんについては今後の研究結果を待って判断する必要があると思います。
 今日は2006年最後の「本日の独り言」です。みなさん良い年をお迎えください。

| | コメント (0)

2006年12月27日 (水)

細菌性髄膜炎、日本もワクチン承認へ

 24日の朝日新聞に「厚生労働省は、重症率が高い乳幼児の病気、細菌性髄膜炎の主原因であるインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン(商品名アクトヒブ)を承認する方針を固めた。26日の専門家による会議をへて、1月下旬にも承認される見通し。」という記事が載りました。http://www.asahi.com/health/news/TKY200612230290.html
 多くの小児科医や関係者が待ち望んでいたHibワクチンがようやく承認されそうです。
 今年の4月29日のブログでも紹介しましたが、読売新聞にHibワクチンの記事がありました。
読売新聞の記事のアドレスは以下の通りです。
髄膜炎ワクチン(上)先進国で唯一 未承認
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060417ik01.htm
髄膜炎ワクチン(中)抗生物質が効かない菌も
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060418ik01.htm
髄膜炎ワクチン(下)承認へ迅速審査が急務
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060419ik01.htm
髄膜炎から乳幼児守れ、ワクチン導入を学会訴え
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060325ik03.htm
 5歳未満の乳幼児1万人に1人程度がHibによる細菌性髄膜炎にかかると推定され、このうち5%が死亡し、25%に聴覚障害、てんかんなどの後遺症が残るといわれています。病気の初期の段階での診断と抗生物質による予防はほぼ不可能です。そのため欧米では早くからHiBワクチンが導入され効果を上げてきました。米国ではワクチン導入後にはHibによる髄膜炎は皆無になりました。Hibは髄膜炎だけではなく重篤な肺炎や突然の呼吸停止を引き起こす喉頭炎など様々なそして生死にかかわる病気の原因菌です。
 Hibワクチンは世界で100カ国以上で接種されており、98年には 世界保健機関(WHO)が乳児への定期接種を推奨する声明を出しましたが、日本だけが未承認でした。来年からようやく日本の子ども達にも接種の道がひらけました。
 しかし当面は、公費補助ではなく任意(自費)による接種となります。計4回の接種が必要で、費用が約3万円程度かかります。また1歳までに最初の3回を済ませるので、三種混合やポリオの接種年齢と重なりワクチン接種に出向く回数が増えてしまいます(海外では三種混合+Hib+不活化ポリオ+B型肝炎の6種類をまとめたワクチンを1回で接種する方法を取っている国もあります)。このためすぐには普及しないでしょうが、Hibワクチンの必要性を保護者の方々へ話して接種と認識を広め、早く定期接種になるようにしたいものです。

| | コメント (0)

2006年12月13日 (水)

ウイルス性胃腸炎

ノロウイルス感染による胃腸炎の患者数が例年になく早いペースで増加していると報道されています。いわゆる嘔吐下痢症で毎年冬に多くみられます。ウイルス性胃腸炎はノロウイルスだけでなくロタウイルス、アデノウイルス等でもおこります。小児ではロタウイルス胃腸炎が重篤になりがちでしたが、米国ではロタウイルスワクチンが実用化されています。ロタウイルスやアデノウイルスは一般クリニックでも便を用いた迅速検査で診断することができます。しかしノロウイルスは検査機関で調べないとわかりませんし検査に対する保険の適応はありません。厚生労働省が「ノロウイルスに関するQ&A」を公開しています。

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/040204-1.pdf

流行の状況は感染症情報センターのホームページをご覧ください。

http://idsc.nih.go.jp/idwr/pdf-j.html

| | コメント (0)

2006年12月 9日 (土)

インフルエンザワクチン

この冬はインフルエンザワクチンを接種する人が昨年に比べて少なくなっています。昨年は鳥インフルエンザがマスコミを騒がせていたので人々のインフルエンザへの関心が高かったようですが、今年はマスコミも静かです。また暖冬でインフルエンザなどまだ人々の意識に上らないのでしょう。メーカーの話では出荷数が昨年比7割強だそうです。私のクリニックでも接種数は昨年比9割弱です。今からでも間に合います。インフルエンザワクチンの接種を考えてください。

| | コメント (0)

« 2006年11月 | トップページ | 2007年1月 »