2026年9月30日 (水)

お子さまの身長が低いと感じたら

お子さんの身長が低いと感じたら ― 低身長について

子どもの身長には大きな個人差があります。ゆっくり伸びる子もいれば、早い時期によく伸び、その後の伸びがゆるやかになる子もいます。多くは遺伝や体質によるものですが、なかには病気が原因で身長が伸びにくくなっている場合があります。

まず「成長曲線」を見てみましょう

お子さんの身長が気になるときは、母子手帳にある「成長曲線」に、これまでの身長を記入してみてください。

母子手帳の成長曲線は「パーセンタイル」という方法で示されています。一番下の線が3パーセンタイルです。この線より下に身長がある場合、同じ年齢・性別の子どもを身長の低い順に100人並べると、低い方からおよそ3人以内に入ることになります。

一方、小児科では低身長を判断するときに「SD(標準偏差)」という基準も使います。一般に**-2SD以下を低身長**と考えます。-2SDも、100人の子どもを身長順に並べると、低い方からおよそ2~3人に入る身長です。

つまり、母子手帳の「3パーセンタイル」と、小児科で使う「-2SD」は、計算方法や意味は少し異なりますが、どちらも「同じ年齢・性別の子どもの中でかなり身長が低い」ことを示す、ほぼ同じくらいの目安と考えていただくとよいでしょう。

ただし、大切なのは現在の身長だけではありません。これまで順調に伸びていたのに成長曲線が下向きになってきた場合や、1年間の身長の伸びが少ない場合には、-2SD以下でなくても病気が隠れていることがあります。

そのため、母子手帳の一番下の線付近にある場合や、-2SD前後の境界の身長であっても、身長の伸び方が気になる場合には一度小児科で相談することをおすすめします。

低身長の原因にはいろいろあります

低身長の多くは、両親も小柄であるなど遺伝や体質によるものです。しかし、次のような病気が隠れていることがあります。

成長ホルモンの病気
成長ホルモンが十分に分泌されないと、身長の伸びが悪くなります。必要な場合にはホルモンを補う治療を行うことで、身長の伸びが改善することがあります。

小さく生まれ、その後も身長が追いつかない場合(SGA性低身長症)
生まれたときの身長や体重が在胎週数に比べて小さかったお子さんの多くは、2~3歳頃までに身長が追いついてきます。しかし、3歳を過ぎても低身長が続き、一定の条件を満たす場合には、成長ホルモン治療の対象になることがあります。

慢性的な病気
心臓、腎臓、肝臓、消化器などの病気が原因で身長の伸びが悪くなることがあります。低身長をきっかけに、それまで気づかなかった病気が見つかることもあります。

このほか、染色体や遺伝子の病気、骨や軟骨の病気などが原因になることもあります。

「-2SDを下回っていないから大丈夫」とは限りません

これまで小児科では、身長が-2SD以下になることを専門医へ紹介する一つの目安としてきました。

しかし最近では、-2SD前後の境界線にいるお子さんについても、成長の経過をよく確認し、必要に応じて検査を行うことが大切と考えられるようになっています。

低身長の原因についての研究が進み、成長ホルモンの病気だけでなく、さまざまな原因があることが分かってきたためです。

そのため、たとえ-2SDをわずかに上回っていても、

  • 以前より成長曲線が下向きになってきた
  • 1年間の身長の伸びが少ない
  • 同年代との差がだんだん広がっている

といった場合には、一度小児科で相談することをおすすめします。

気になるときは早めにご相談ください

身長は、遺伝だけでなく、栄養、睡眠、運動、慢性的な病気などさまざまな要因の影響を受けます。また、思春期が進むと残された成長期間は短くなっていきます。

低身長のすべてに治療が必要なわけではありません。しかし、治療できる原因が隠れている場合には、早く見つけることが大切です。

「まだ-2SDにはなっていないから大丈夫」と考えるのではなく、身長が低めで気になる場合や、成長曲線から外れてきた場合には、お気軽にご相談ください。

 

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2026年8月31日 (月)

おたふくかぜとおたふくかぜワクチン

おたふくかぜは「かかってしまえばよい病気」ではありません

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、耳の下が腫れるだけの病気と思われがちですが、髄膜炎、難聴、精巣炎などの合併症を起こすことがあります。

特に知っていただきたいのが難聴です。おたふくかぜによる難聴は、いったん起こると聴力が回復しないことがあります。

自然感染とワクチンを比べると

厚生労働省の2026年版資料などをもとに、主な合併症を比べてみます。



合併症 自然に感染した場合 ワクチン接種後
無菌性髄膜炎 1~10% 自然感染より大幅に少ない
脳炎 0.02~0.5% きわめてまれ
難聴 0.01~0.5% きわめてまれ
精巣炎 思春期以降の男性の14~35% きわめてまれ

※報告によって頻度には幅があります。ワクチンの副反応は、使用するワクチン株によっても異なります。

ワクチンにも発熱や耳下腺の腫れ、まれに無菌性髄膜炎などの副反応があります。しかし、自然におたふくかぜにかかった場合のほうが、重い合併症の危険性は高くなります。

「自然にかかって免疫をつければよい」という考え方はおすすめできません。

2026年、新しいMMRワクチンが承認されました

2026年5月、麻しん・おたふくかぜ・風しんを一緒に予防するMMRワクチンが新たに承認されました。

このワクチンのおたふくかぜ成分には、海外で広く使用されているRIT-4385株が使われています。従来の国内ワクチンで問題となってきた無菌性髄膜炎が非常に少ないことが期待されています。

さらに現在、厚生労働省では、2027年度からのおたふくかぜワクチンの定期接種化に向けた検討が進められています。

ただし、2026年8月現在、2027年4月からの開始が正式に決定したわけではありません。

おたふくかぜは「子どものころにかかっておけばよい病気」ではありません。

ワクチンにも副反応はありますが、自然感染した場合の合併症とワクチンの副反応を比べて考えることが大切です。

当院では、おたふくかぜは自然感染ではなく、ワクチンで予防することをおすすめしています。

(2026年8月現在)

参考:厚生労働省「おたふくかぜワクチン ファクトシート第2版」、日本小児科学会資料

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2026年7月31日 (金)

日本の子どもたちは、なぜ背が伸びなくなったのでしょう

身長190cmを超える大谷選手だけでなく、バレーボールやバスケットボールなどでも、世界の選手に引けを取らない体格の日本人選手が活躍しています。

ところが、日本人全体を統計で見てみると、少し違った姿が見えてきます。

先日、日本経済新聞7月4日付の中村直文編集委員の記事に、日本人の身長が伸び悩んでいるという興味深い話が載っていました。

日本人の身長は、明治以降、栄養状態や生活環境の改善とともに大きく伸びてきました。

戦後、とくに高度経済成長期には急速に伸び、一時はアジアの中でも比較的身長の高い国になりました。

ところが、その伸びが止まっています。

中国や韓国の若者に追い越された日本

日本経済新聞の記事には、英医学誌「The Lancet(ランセット)」に発表された研究をもとに、世界各国の若者の平均身長を比較した図が掲載されていました。

この研究はNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)という国際的な研究グループによるもので、世界200カ国・地域、2181の調査、約6500万人のデータを解析した非常に大規模な研究です。

2019年の19歳男性の平均身長を比べてみると、

中国 175.7cm
韓国 175.5cm
日本 172.1cm

となっています。

かつて日本より小柄だった中国や韓国の若者が、今では日本を上回っています。

319

図:東アジア3か国の19歳男性の平均身長(2019年)
中国 175.7cm/韓国 175.5cm/日本 172.1cm
出典:NCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC), The Lancet 2020をもとに作成

とくに中国の変化は目立ちます。

1985年から2019年までの約35年間で、中国の19歳男性の平均身長は大きく伸びました。ランセットの研究では、この期間の男性の身長の伸びは中国が世界で最も大きく、韓国も世界で3番目でした。

一方、日本では大きな伸びがみられなくなっています。

豊かな国なのに、なぜ背が伸びないのでしょう

身長には遺伝が大きく関係します。

両親が小柄であれば子どもも小柄になりやすく、両親が背が高ければ子どもも高くなる傾向があります。

したがって、日本人の身長がある程度まで伸びたところで、遺伝的な限界に近づいたという考え方もあります。

ただ、それだけなのでしょうか。

日本経済新聞の記事で注目されていたのが、日本人の食生活の変化です。

今の日本には食べ物があふれています。

コンビニやスーパーに行けば、いつでも好きなものを食べることができます。「飽食の時代」といわれ、子どもの肥満も問題になっています。

ところが、日本人全体が実際に摂取しているエネルギーは、むしろ減少してきています。

食べ物がたくさんあることと、成長期に必要な栄養を十分にとっていることは、必ずしも同じではありません。

小児科医としては、ここが少し気になります。

もう一つ気になる「出生体重」

日本の若い世代の身長について、もう一つ興味深い研究があります。

国立成育医療研究センターが、日本人約315万人の成人身長と、約6412万人の出生時のデータを解析しています。

その結果、日本人の成人平均身長は1978~79年生まれでピークとなり、

男性 171.5cm
女性 158.5cm

でした。

ところが、それ以降に生まれた世代では、平均身長が少しずつ低下する傾向がみられました。

一方、日本では2500g以下で生まれる低出生体重児が増えています。

1970年代後半には約5%だった低出生体重児の割合が、2007年には9.7%まで増えました。

そしてこの研究では、低出生体重児の割合が高くなった世代ほど、成人後の平均身長が低いという強い関連がみられました。

研究者は、低出生体重児の増加が日本人の平均身長低下の一因になっている可能性を指摘しています。

もちろん、これは「低出生体重児が増えたから日本人の身長が低くなった」と単純に証明した研究ではありません。

しかし、子どもの成長を考えるときには、生まれてからの食事だけではなく、お母さんのお腹の中にいるときからの栄養や成長環境も大切なのだろうと思わせる研究です。

子どもの成長は、お腹の中から始まっています

以前の日本では、妊娠中に体重が増えすぎないようにすることがかなり重視された時期がありました。

もちろん妊娠中の過度な体重増加には注意が必要ですが、反対に、必要以上に食事を制限することも望ましくありません。

子どもの成長は、生まれた日から始まるわけではありません。

お母さんのお腹の中にいるときから、すでに始まっています。

そして生まれた後も、乳幼児期、学童期、思春期と、それぞれの時期に必要な栄養があります。

「背が高いほうがよい」という話ではありません

ここで誤解していただきたくないのですが、背が高ければよく、低ければ悪いという話ではありません。

身長には大きな個人差があります。

お父さん、お母さんが小柄であれば、子どもが小柄なのは自然なことです。

小柄であっても、その子なりの成長曲線に沿って元気に育っていれば、多くの場合は心配ありません。

私が気になるのは、

今の日本の子どもたちは、本来持っている「成長する力」を十分に発揮できているだろうか

ということです。

診察室で気になること

日々子どもたちを診察していると、肥満の子どもがいる一方で、とても細い子どもにも出会います。

小学生ではそれほど気にしていなくても、中学生、高校生になると、「太りたくない」という気持ちが強くなり、食事量を減らしてしまうことがあります。

朝食をほとんど食べない子もいます。

また、スマートフォンやゲームなどで就寝時間が遅くなり、睡眠時間が短くなっている子どもも珍しくありません。

成長期には、栄養だけではなく、睡眠も大切です。

身長が伸びる時期には限りがあります

子どもの身長が大きく伸びる時期は限られています。

特に思春期には急速に身長が伸びますが、その後、骨の成長が終了すると身長はほとんど伸びなくなります。

大人になってから、

「もう少し食べておけばよかった」

「もう少し早く寝ておけばよかった」

と思っても、成長期をもう一度やり直すことはできません。

だからといって、「身長を伸ばす」と宣伝されているサプリメントや特別な食品が必要なわけではありません。

もっと基本的なことが大切です。

しっかり食べる。
よく眠る。
よく体を動かす。

昔からいわれてきた、ごく当たり前の生活です。

成長期の子どもには、肉、魚、卵、牛乳・乳製品、豆類などからたんぱく質をとり、ご飯などの炭水化物もしっかり食べてもらいたいと思います。

「太らないように」と必要以上に食事を減らすことは、少なくとも成長期の子どもには勧められません。

身長は、子どもたちの生活を映す「ものさし」なのかもしれません

日本人の平均身長が伸びなくなった理由は、一つではないでしょう。

遺伝的な要因もあれば、妊娠中の母体の栄養、出生体重、乳幼児期から思春期までの食生活、睡眠、運動など、いろいろな要因が関係していると思います。

ですから、中国や韓国より日本の若者の身長が低くなったこと自体を問題にする必要はありません。

ただ、日本経済新聞の記事を読んでいて、私は少し考えさせられました。

日本はこれだけ豊かな国になり、食べ物も十分にあります。

それなのに、若い世代の身長は伸びなくなっています。

そして、低出生体重で生まれる赤ちゃんも決して少なくありません。

日本の若者の身長が伸びなくなったという数字は、単なる「背の高さ」の問題ではなく、日本の子どもたちの栄養や生活環境を映している一つの「ものさし」なのかもしれません。

子どもたちを少しでも背が高くなるように育てる、ということが目的ではありません。

一人ひとりの子どもが生まれながらに持っている成長する力を、できるだけ十分に発揮できるようにする。

そのために、よく食べ、よく眠り、よく遊ぶ。

やはり、そんな当たり前の生活を大切にしてほしいと思います。

【参考】

日本経済新聞 7月4日付 中村直文編集委員の記事

NCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC).
Height and body-mass index trajectories of school-aged children and adolescents from 1985 to 2019 in 200 countries and territories.
The Lancet. 2020;396:1511-1524.

国立成育医療研究センター
「日本人の平均身長は低下傾向―低出生体重児増加が影響している可能性あり―」

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2026年6月29日 (月)

腸・腸内細菌・便・整腸剤・腸リフル

🦠 腸は「免疫の司令塔」ともいえる大切な臓器です

最近の研究では、腸は単に食べ物を消化するだけではなく、免疫を支える重要な臓器であることがわかってきました。

🌱 腸内には100兆個以上もの細菌が暮らいています。

彼らは

✅ 病原菌から体を守る

🛡️ 免疫を調整する

🧠 ホルモンや神経伝達物質の産生に関わる

🍀 ビタミンを作る

など、私たちの健康を支えています。


 

 

 

💩 便の正体をご存じですか?

「便=食べ物のカス」

と思われがちですが、実はそうではありません。

💡 便の乾燥成分のかなりの割合は腸内細菌やその残骸です。

つまり毎日の便は、
**「腸内環境からのお便り」**ともいえるのです。


 

 

 

💊 抗生物質は必要な薬ですが…

抗生物質は細菌感染を治療する大切な薬です。

しかし一方で、

⚠️ 善玉菌も減らしてしまうことがあります。

その結果、

🦠 腸内細菌のバランスが乱れ

⬇

耐性菌が増えやすい環境になります。

👶 特に乳児では腸内細菌が発達途中なので、

必要な時だけ使うことがとても大切です。


 

 

 

😊 整腸剤にも違いがあります

🌸 ビオフェルミン

胃酸の影響を受けやすい乳酸菌ですが、
腸内を酸性に保ち、
悪玉菌が増えにくい環境を作ります。


 

 

 

🌸 ラックビー

胃酸に強く、
生きたまま腸まで届きやすい乳酸菌です。


 

 

 

🌸 ミヤBM

酪酸菌という特殊な菌です。

✨ 腸のエネルギー源となる「酪酸」を作り

🛡️ 腸のバリア機能

🦠 免疫

を助けます。


 

 

 

🥗 「腸活」が注目されています

最近では

🍎 食物繊維

🥣 発酵食品

🚶 適度な運動

😴 良い睡眠

などによって

腸内細菌を育てること

が健康につながると考えられています。


 

 

 

🔬 腸内細菌の研究は急速に進んでいます

現在では

🌼 アレルギー

😷 喘息

⚖️ 肥満

🩸 糖尿病

🧠 心の健康

など、多くの病気との関係が研究されています。

これからの医学では、
「腸内細菌を守ること」が健康を守ることにつながると考えられています。


 

 

 

👨‍⚕️ 当院からのメッセージ

💙 当院では

「必要な時にはしっかり抗生物質を使う」

そして

「不要な時にはできるだけ使わない」

という考えで診療を行っています。

お子さんの今の病気だけでなく、将来の健康も守ることを大切にしています。

 

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2026年5月29日 (金)

手足口病 再び

夏になると、手足口病やヘルパンギーナなど、いわゆる「夏風邪」が増えてきます。
実際、今年も5月に入り、大流行というほどではありませんが、患者さんが増えてきました。
手足口病については、2024年7月のこのブログで詳しく書いておりますので、ぜひご覧ください。

手足口病って何

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2026年4月30日 (木)

アナフィラキシーの新しい治療薬「ネフィー」

2026年2月、重いアレルギー反応であるアナフィラキシーに対応する新しい薬「ネフィー」が発売されました。
アナフィラキシーは、皮膚(蕁麻疹)、呼吸器(呼吸困難)、循環器(血圧低下)、消化器などの症状が同時に複数出現し、急速に進行するのが特徴です。放置すれば命に関わることもあり、初期対応が極めて重要です。
アナフィラキシーに対してはこれまでは自己注射薬「エピペン」で対応していました。

ネフィーは鼻にワンプッシュするだけの、点鼻薬のアドレナリン製剤です。
小型で携帯しやすくなっています。
そして自己注射薬「エピペン」と同様の効果が期待されます。

エピペンのような注射ではないため心理的ハードルが低く、これまで問題だった「注射への抵抗感」による使用の遅れを改善し、学校・家庭での対応が変わる可能性があります。
ネフィーの登場により、本人・保護者・教職員がより早く対応できる環境が期待されています。
国はガイドラインに基づき、万一本人がエピペンを打てない場合は、教師や保育士が打ってもいいとしました。学校などでは研修も行われはじめました。

使用にあたっての注意点があります。
ネフィーは研修を受けた登録医のみ処方可能です
体重15kg以上が使用の目安になります。
そして事前に保護者への説明と同意が必要です。
また練習用デバイスでのトレーニングが重要です。
使用後は必ず救急搬送を要請するようにします。

ネフィーの登場は、アナフィラキシー対応を大きく変える可能性があります。
「早く・ためらわずに使える」環境づくりが、命を守る鍵となります。

当院でもネフィーの仕様について準備をすすめています。

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2026年3月31日 (火)

スギ花粉症 続き

先月のブログでは、「花粉の少ないスギの植林が、困難はありながらも進められている」というお話を書きました。ところが、思わぬ問題があるようです。てしまっているとのことです。広い山林の中で鹿への対策を行うのは簡単ではなく、なかなか難しい課題となっています。

さて、先日ラジオを聞いていて、「非粉地(ひふんち)」という言葉を初めて知りました。
非粉地とは、スギやヒノキなどの花粉の飛散が少なく、花粉症の方が比較的快適に過ごせる地域のことを指します。
非粉地の特徴としては、以下のようなものがあります。
・本土から離れた離島
・沖縄や北海道など、スギやヒノキがほとんど存在しない地域
・標高が高く、花粉が飛来しにくい地域

日本国内では、例えば以下のような地域が知られています。
・北海道(釧路市など)
・沖縄県(宮古島など)
・東京都(小笠原諸島、八丈島など)

花粉症の症状が非常に強い方の中には、花粉の多い時期にこうした非粉地へ長期滞在される方もいらっしゃるようです。

当院でも、スギ花粉症に対する舌下免疫療法を行うお子さんが増えてきました。
今年は治療を開始して初めて迎える花粉飛散のシーズンでしたが、「昨年に比べて症状がかなり軽くなった」と実感されている方が多くいらっしゃいます。

スギ花粉症でお困りの方は、ぜひ舌下免疫療法についてご検討ください。

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2026年2月27日 (金)

スギ花粉が飛散中です ― 治療と「花粉を減らす」新しい取り組み

いま、スギ花粉が飛散しています。
花粉症でつらい思いをしているお子さんも増えてきました。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ…。
勉強や睡眠に影響が出てしまうこともあります。

■ 舌下免疫療法という選択肢
スギ花粉症に対しては、舌下免疫療法という治療法があります。
詳しくは昨年のブログをご覧ください。

2025年3月17日(月)
「スギ花粉症でお悩みの方へ 🌿🤧」
http://ueda-clinic.cocolog-nifty.com/blog/2025/03/index.html

舌下免疫療法は、毎日少量のスギ花粉の成分を舌の下から体に取り入れ、少しずつ体を慣らしていく治療です。
昨年から治療を始めたお子さんの中には、
「今年は症状が軽いのが目に見えてわかります」
とおっしゃる保護者の方も多くいらっしゃいます。

実際に効果が出ると、
✔ 症状が明らかに軽くなる
✔ 内服薬や点眼薬の量が減る
✔ 春の生活の質が大きく改善する
という変化がみられます。
花粉症を“その場しのぎ”ではなく、体質改善を目指す治療です。
なお、新しく開始する場合は、
スギ花粉の飛散が終わる6月頃からになります。

■ 花粉を「治す」だけでなく、「減らす」取り組みも
2023年、岸田文雄 前総理は花粉症を「社会問題」と位置づけました。
政府は
✔ 花粉症対策を国の課題と認識
✔ 発生源対策(スギ林整備)
✔ 飛散予測の充実
✔ 治療支援
の3本柱で方針を示し、
2030年代に花粉飛散量を半減する目標を掲げています。

しかし現実には、
・森林の植え替えは時間がかかる
・気候条件で飛散量は大きく変わる
など、すぐに効果が出る対策ではありません。

■ 無花粉スギへの転換
現在は
✔ 無花粉スギの育種・量産
✔ 少花粉スギへの植え替え
が進められています。
ただし森林の入れ替えには長い年月が必要です。

■ 注目される「真菌」を使った新しい対策
2月25日放送のNHK【Nらじ】特集
「花粉症シーズン 山では何が起こっているのか」
森林総合研究所 の倉本惠生さんのお話の中で紹介されていたのが、
スギの雄花(花粉をつくる部分)だけに寄生する真菌(カビ)を利用する研究です。

この方法では、
✅ スギの木そのものを枯らすのではなく
✅ 花粉をつくる雄花だけを枯死させ
✅ 花粉の発生量を減らす可能性がある
という戦略です。
もし実用化されれば、
・森林を大規模に伐採せず
・自然環境への影響を抑えながら
・花粉飛散量を減らせる
可能性があります。

■ ただし、まだ研究段階です
現在の課題としては、
✔ 真菌の安全性
✔ 他の植物や生態系への影響
✔ 自然環境でどの程度広がるか
✔ 実際にどれくらい花粉を減らせるか
✔ 広範囲への散布方法とコスト
などがあり、まだ全国で実用化されている段階ではありません。
それでも、
「花粉症を治療する」だけでなく、
花粉そのものを減らす方向の研究が進んでいることは、大きな希望です。

花粉症は「毎年つらいもの」とあきらめる時代ではありません。
症状が強いお子さんは、ぜひご相談ください。

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2026年1月31日 (土)

インフルエンザB型の流行について

年が明けてから、インフルエンザB型の流行が始まりました。
昨年は1月に入ってもA型の流行が続き、B型は4月にわずかに見られただけで終わりました。今年はB型の動きが早い印象です。

■ A型とB型で症状は違うの?
A型とB型で、症状に明確な違いがあるわけではありません。
発熱、咳、のどの痛み、倦怠感、消化器症状(嘔吐・下痢)などは、型の違いというよりもお子さんそれぞれの体質や反応の違いによるものです。

■ 抗インフルエンザ薬の効果の違い
一方で、抗インフルエンザ薬の効き方にはやや違いがあると感じています。
A型では、薬の効果によって比較的早く解熱する例が多いのですが、B型では解熱効果がやや弱い印象があります。
きちんと内服・吸入していても、なかなか熱が下がらず再診されるお子さんもいらっしゃいます。
これは薬が効いていないというよりも、B型では解熱まで時間がかかることがあるとご理解ください。

■ 主な抗インフルエンザ薬について
現在よく使われているお薬には次のようなものがあります。

タミフル(5日間内服)
リレンザ(5日間吸入)
イナビル(1回吸入)
ゾフルーザ(1回内服)

■ 異常行動について
どの薬にも「異常行動」の注意書きがありますが、現在では、いわゆる異常行動は薬の副作用というよりも、インフルエンザによる高熱時のせん妄(熱せん妄)が原因と考えられています。
薬を飲んでいてもいなくても、発症後48時間はお子さんから目を離さないことが大切です。

■ 当院での処方について
当院では主にタミフル、リレンザを処方しています。

■ タミフルについて
タミフルは味が苦いのが難点です。そのままでは飲みにくいお子さんもいますので、
チョコアイス、チョコレートシロップ、ブルーベリーやいちごジャムなどの甘い食品に少量包み込んで飲ませる方法が比較的有効です。

■ イナビルについて
1回の吸入で済む点はメリットですが、吸入が十分にできないと効果は期待できません。
特に小さなお子さんまたは小学生でも、薬剤師さんの指導のもとでも十分に吸入できていないことがあり、
「イナビルを吸ったのに熱が下がりません」と受診されるケースもあります。

■ ゾフルーザについて
ゾフルーザは1回の内服で済むお薬です。
ただしこの薬は発売当初、薬の効果が落ちる耐性インフルエンザウイルスをつくりだすことが問題になりました。
耐性ウイルスは特に小児で診られることが多く、当初は処方を控える小児医が多かったように思います。
その後、調査と研究がすすんで、2025年10月に日本小児科学会から発表された最新の
「2025/26 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」では、次のように示されています。
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=655
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20251022_2025-2026_infuru_shishin.pdf

5歳以下:積極的な使用は推奨しない
6~11歳:A型には慎重投与、B型には使用を提案
12歳以上:他剤と同様に推奨

またゾフルーザの製薬会社の添付文書には以下のように記載されています。
「体重20kg未満の小児に対する投与については、他の抗インフルエンザウイルス薬の使用を考慮した上で、本剤の投与の必要性を特に慎重に検討すること」

ゾフルーザはB型に対して有効性がありますので、当院でも12歳以上には使用することがあります。
ただし、5歳以下には処方しません。
小学生については「推奨」ではなく「提案」とされていますので、症状をみながら保護者の方と相談して決めています。

最後にインフルエンザは型にかかわらずつらい病気です。薬はあくまで「回復を助けるもの」であり、最も大切なのは十分な休養、水分補給、発症後48時間の見守りです。
ご心配なことがあれば、遠慮なくご相談ください。

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2025年12月31日 (水)

この一年を振り返って

新型コロナウイルス感染症は、2023年5月に感染症法上の5類に移行しました。それ以降、コロナ禍で抑制されていたさまざまな感染症が、2024年にかけて次々と流行し、その対応に追われる日々が続きました。

しかし、2025年を迎えると、リンゴ病や百日咳の流行はみられたものの、感染症全体の患者数は、当院の実感としてはコロナ禍前より少なくなった印象があります。年末のインフルエンザも、立ち上がりは目立ちましたが、結果として総数は特別多いものにはならなかったように思われます。

病気の子どもたちが少なくなることは喜ばしいことです。しかし、その背景には感染症対策以外の要因もあるのではないかと感じています。

その一つが少子化です。
出生数は、これまでの予測を上回るスピードで減少しています。糸島市においても、0歳児人口は5~10年前と比べて、概ね3割以上減少していると考えられます。

どのような政策を講じても、少子化に歯止めをかけることは容易ではありません。福祉や医療が非常に手厚い北欧諸国においても、少子化を止めることはできていないのが現状です。
少子化を現実として受け入れ、少なくなった子どもたち一人ひとりを社会全体で大切に育てていく姿勢が、今後ますます重要になると思われます。

今年から、糸島市の3歳児健診にスポットビジョンスクリーナーが導入されました。
スポットビジョンスクリーナーは、
・目の位置のずれ(斜視)
・遠視、近視、乱視などの屈折異常
・左右の目の屈折度数に大きな差がある状態
・いわゆる「弱視の危険因子」
をスクリーニングする機能を持っており、眼の問題を早期に発見し、適切な対応につなげることができるようになりました。

話は変わりますが、年末年始はテレビを見てゆっくり過ごすことが多いという方も多いのではないでしょうか。
そんな中で、私が今年「ぜひおすすめしたい」と思った番組があります。

それは、12月31日(水)午後4時~5時39分放送のNHK Eテレ
映画『小学校 〜それは小さな社会〜 伝えたいこと』(監督:山崎エマさん)です。
この映画は、今年2月にNHKラジオで話題になっているのを聞き、「地上波で放送されたらぜひ見たい」と思っていた作品でした。実は日本よりも海外で高く評価され、アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にもノミネートされています。

映画の公式ホームページには、こんな印象的な言葉があります。
「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」
私たちは、いったいいつ、どのようにして“日本人”になっていくのでしょうか。
この映画の舞台は、どこにでもある公立小学校です。コロナ禍で学校行事をどうするか悩む先生たち、日々少しずつ成長していく子どもたちの姿が描かれています。新年度に向けて、責任感や達成感、そして「誰かのために行動する喜び」を学びながら進級していく様子は、とても自然で心に残ります。

特別な出来事が起こるわけではありませんが、ありふれた小学校の日常だからこそ気づかされることがたくさんあります。
放送が終わっても配信はされています。
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-N7Y1NRQ3Q2

今年も厳しい一年ではありましたが、皆様のご理解とご協力に心より感謝申し上げます。
来年も皆様が健康で、希望に満ちた日々を過ごされますようお祈り申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えください。

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