2008年4月20日 (日)

多種類ウイルス同時検出キット

 呼吸器感染(症状としては咳、鼻汁、熱)をおこす代表的なウイルス12種類を同時に検出する検査キットができて、米国では使用が承認されたそうです。高熱が続いた時には、以前は、熱の高い風邪ですとか、根拠は曖昧なのに、インフルエンザですと言い切っていました。しかし現在はそういうあやふやな診断では患者さんは納得されません。またインフルエンザの治療薬のタミフルは診断キットで陽性の患者さんにしか処方が原則としてできません。日本では外来で迅速検査ができるのは大きく3種のウイルス(インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス)だけですが、風邪症状や高熱をともなうウイルスは他にもあります。迅速検査の対象となるウイルスの数が増えて、しかも同時にできれば、診断もより確実になり、患者さんの負担も軽くなります。インフルエンザの検査のための綿棒を鼻に入れられるのは痛いのですから、それを何回もする必要がなくなり、痛い検査も1回ですむわけです。
12種のウイルスは、以下の通りです。
インフルエンザA型 H1 (ソ連型)
インフルエンザA型 H3 (香港型)
インフルエンザウイルスA型 (上記以外のA型)
インフルエンザB型
RSウイルスA型
RSウイルスB型
パラインフルエンザ1型
パラインフルエンザ2型
パラインフルエンザ3型
ライノウイルス
アデノウイルス
メタニューモウイルス
 ヨーロッパではこれより7種類多い、19種類のウイルスを同時検出できるキットが承認されたそうです。
これからはますます、「○○ウイルスによる熱です」とか「○○ウイルスによる咳です」という診断を求められるようになるでしょう。

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2008年3月16日 (日)

妊婦さんとシートベルト

 お腹の大きな妊婦さんはシートベルトをしないで車に乗ることが多いのではないでしょうか。それは妊婦さんたちが、道路交通法ではシートベルトの装着を義務付けていますが、妊婦については「健康保持上適当でない場合」は免除する規定があるのを知っているからかもしれません。
 ところで日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は妊婦さんにシートベルト装着を推奨することを発表しました。近く公表する医師向けの診療指針に盛り込むようです。この2団体では交通事故で年間最大約1万件の流・早産が起き、約40人の妊婦が死亡していると推計しています。装着の注意点は、ベルトが肩と腰の両方にかかり、おなかの膨らんだ部分(子宮)にかからないようにすることです。腰だけを固定する2点固定式ベルトではなく、肩にもかかる3点固定式ならお腹への影響はないようです。
 海外ではシートベルトをしない方が妊婦、胎児とも死亡率が高いことが示されていて、今回の2団体の提言に警察庁も「非常に意義深い。警察も啓発に取り組みたい」と歓迎しているようです。
 WEBには「妊婦のシートベルト着用を推進する会」http://www.maternity-seatbelt.jp/というサイトもあります。

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2008年2月17日 (日)

地域医療崩壊 何が医師を追いつめるのか?

 病院に勤務する小児科医の不足が問題になっています。その背景には何があるのか。そして医師を地域で守るために立ち上がった人々のレポートが放送されました。再放送がありますのでぜひご覧ください。

NHK教育テレビ 福祉ネットワーク

地域医療崩壊 何が医師を追いつめるのか?
再放送:2月21日(木)午後1時20分から1時49分

 いま全国の病院で医師が次々と辞めていき、地域医療が崩壊の危機にさらされている。従来あまり語られてこなかったが、背景のひとつにあるのが患者の安易な「コンビニ受診」。「待ち時間が昼に比べ少なくてすむ」「会社を休まなくてすむ」「どうにも不安でならない」などの理由で、深夜などの時間外に受診する人が増えている。なかには救急車をタクシー代わりに使う悪質なケースもあって、問題となっている。番組は、北海道苫小牧のある病院の夜間救急に密着。医師の苦闘ぶりを描くとともに、地域のお母さんたちが「子どもを守ろう、お医者さんを守ろう」をスローガンに「脱コンビニ受診」の取り組みを始めた兵庫県丹波市の事例を紹介する。
「NHKオンライン」より

「県立柏原病院の小児科を守る会」のホームページが開設されました。
http://www.mamorusyounika.com/

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2008年1月28日 (月)

C型インフルエンザ

 インフルンザはA型の香港型とソ連型それにB型が毎年冬に流行します。ところでインフルエンザにはC型があります。今までC型インフルンザは罹っても軽症と言われてきました。しかし最近の研究では「発熱(38.5℃以上、2日間以上)、咳、鼻汁を主訴としていた。A型インフルエンザと症状が類似し、鑑別が難しい」ことがわかってきました。C型インフルエンザの診断は患者さんからウイルスを採取して分析するしかありません。A型、B型のような迅速診断キットはありません。一般外来での確定診断は難しいのが現状です。インフルエンザの流行する時期に、インフルエンザのように高熱と倦怠感があるのに、迅速検査を行っても陰性反応しかでない症例があります。もしかしたらC型インフルエンザを診ているのかもしれません。

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2008年1月 7日 (月)

あけましておめでとうございます

 この冬は昨年ほどの暖冬ではありませんが、昼間は寒さも和らいでいるようです。まだ冬休みで病気の子どもも少ないようです。

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2007年12月28日 (金)

この1年を振り返って

 暖冬のため2007年は静かに年があけました。ところが3月になるとインフルエンザが爆発的に流行し一冬分のインフルエンザを一月で診ることになりました。そのさなかに厚労省が突然、タミフルの10代での使用を事実上禁止する通達をだしました。科学的裏付けや統計的データもないままに、厚労省がマスコミ報道に押し切られたかたちの通達に思えました。現場は患者さんへの説明に混乱しました。この年末に厚労省の調査会が、全国で17歳以下の患者約約1万人の調査で、タミフルを服用しない患者群が、服用した患者群より約2倍の頻度で異常行動が起こるという統計調査の暫定的結果を発表しました。飛び降りなど生命にかかわる異常行動でも発生率に大きな差はありませんでしたが、まだ解析の余地があるということで因果関係の判定は先送りとなりました。この発表を報道したマスコミはわずかでした。
 春は首都圏の大学生を中心にはしかが流行しました。今の時代に先進国ではしかが流行するなど世界の常識では考えられないことです。カナダへ修学旅行に行った高校生がはしかを発病したため隔離され、同行の高校生にはしかワクチンが強制的に接種されてしまいました。カナダの保健当局ははしかの発生にバイオテロ並みの危機感を覚えたようです。日本国内ではパニック状態になり、はしかワクチンが不足し、定期接種しなければならない幼児にできなくなりました。ここ数年、春には、関東ではしかの発生が続いているので来春も同じようなことになるでしょう。しかも来春から中高生にもはしかワクチンの定期接種が始まります。またワクチン不足がおこると心配されます。
 秋には日本脳炎ワクチンが日本からなくなってしまいました。製薬会社は新型の日本脳炎ワクチンを製造するために旧型ワクチンの生産ラインを壊していました。ところが新型ワクチンの認可が下りなくなったため、旧型の在庫が底をつき、新型も供給できなくなってしまいました。新型ワクチン認可がでなかったのは、治験の結果、接種した部位の腫れが、旧型より強かったためでした。治験はやり直しとなりました。ワクチンの接種が受けれずに免疫をもたない子どもたちが数年、数十年先には、今春のはしかの大学生のように、日本脳炎の患者になってしまう不安が残ります。
 あまり知られていませんが、実は二種混合ワクチンも一時供給不足になりました。
 1月に、日本の小児科医が切実に望んでいたインフルエンザ桿菌タイプb型(Hib)ワクチンの認可がでました。世界に遅れること10年、ようやくこれで髄膜炎、口頭蓋炎などの生命に係る病気からこども達を救えると喜んだのもつかの間でした。Hibワクチンはフランスの製薬大手サノフィ・アベンティスから輸入するのですが、ワクチンに微量の沈殿物があるという理由で輸入がストップされています。サノフィは問題ないとしていますし、実際世界で使われているワクチンですが、厚労省はダメだといっているようです。サノフィも日本のためだけに製造行程を変えるつもりはないようです。そのため日本では当分の間使えそうもありません。その間にも年間数十人のこどもたちの命がHibにより奪われ、その何倍ものこどもたちがHibの後遺症に苦しむことになってしまうのに!
 1998年、世界保健機関(WHO)がHibワクチンの乳児への定期接種を推奨する声明を出したことから、Hibワクチンは現在では世界100カ国以上で使用されるようになり、世界的に見ればHib感染症はまれな疾患となっています。
 こどもの重症細菌感染症のほとんどはHibまたは肺炎球菌が原因です。世界のほとんどの国はこの二つのワクチンを接種して劇的な効果をあげています。日本だけが接種できずに毎年多くのこどもたちがこれらの菌により亡くなったり後遺症に苦しんだりしています。今年、私は肺炎球菌ワクチンの治験に係ることができました。肺炎球菌ワクチンの早期の認可に少しでも貢献できたかと思います。
 今年はタミフルとワクチンに振り回された1年でした。そして現場では患者さんや保護者への説明に多くの時間をさきました。日本の薬事行政は迅速に問題対応のできるシステム変わってほしいものです。来年には問題が少しでも解決することを切に願います。
 今日は2007年最後の「本日の独り言」です。みなさん良い年をお迎えください。

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2007年12月 6日 (木)

ベビーカー専用エレベーター

 福岡市の天神地区で私は初めてベビカー専用エレベーターを見つけました。それは11月にオープンしたLoftにありました。エレベーターの扉の掲示には、
お客様へ
こちらのエレベーターは、車イス・ベビーカーでのお客さま専用とさせていただきますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
 とありました。
 今まで、ベビーカー優先のエレベーターは多くありましたが、専用としたものはなかったように思います。これは東京の文化なのでしょうか。九州のサービス業界にはなっかたものです。この一点だけでもLoftは賞賛される店舗といえるでしょう。

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2007年11月27日 (火)

安全で楽しい遊具を作るために 1

 10月11日のNHKラジオ夕刊で、独立行政法人、産業技術総合研究所、デジタルヒューマン研究センター、人間構造理解チーム、チーム長の西田佳史さんの「安全で楽しい遊具を作るために」についての話がありました。興味ある内容でしたのでまとめてみました。
 最近は公園に設置した遊具で事故が起きるとその遊具が撤去されることが多く、そうなるとこども達の遊ぶ場がなくなってよくありません。そこで安全な遊具を設計するにはどうしたらよいか西田さんたちは研究してきました。
 まずどのような事故がおきているか調べてみると、半分以上が落下(転落)による事故でした。そのなかで24%が登る場所でおきていました。
 こどもが遊具でどのように遊んでいるのかというデータはありません。そこで科学的なデータを取るために西田さんは筋肉の微小な電流を計測するセンサーを使いました。西田さんはもともとセンサーの研究をしていたのです。こどもが力を入れると筋肉に微小な電機が流れます。その電気を計測することで、こどもが遊具のどこでどんな力を使っているのかがわかります。こどもが力をいっぱいつかっているところに落下の危険があると予測できます。
 こどもの行動の分析にはこの筋電計センサーとカメラを使いました。50人のこどもを年齢ごとに調査をしました。そして同じジャングルジムでもこどもの年齢によって登り方も違ってくることがわかりました。3歳以下と4歳以上では登り方が違っていました。石が出っ張ったところ手を引っ掛けて登る遊具では、出っ張りが2cm以下であると3歳以下のこどもには難しくて登れません。しかし出っ張りが5cmくらいになると簡単に登れるようになります。これを使うと設計者がどのあたりを難しく、または簡単にするか設計できるようになります。
 小さい子が間単に上まで登って落ちてしまうと大きな事故につながります。そこで小さい子は落ちるならできるだけ下で落ちるようにします。大きな怪我につながらないうちに落ちてしまうことで安全になります。最初の登りかけのところを難しくすると転落のリスクをコントロールできます。
 ところで遊具を安全にするとこどもが危険を察知する能力がなくなるのではという意見があります。西田さんたちは究極の安全な遊具をつくっているのではありません。落ちれば痛い、だけれども死んでしまったり重篤な後遺症の事故にはいたらない遊具を目指しています。

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安全で楽しい遊具を作るために 2

 またこどものけがの程度と原因の両方を分析するシステムを西田さんたちは開発しました。こどもの死亡原因は病気ではなく不慮の事故が1歳から19歳まで死因のトップです。こどもの事故を防ぐためには、どういう事故が起きているのか、その情報を集めるところからはじめました。国立生育医療センターと共同で開発した障害サーベーランシステムをつかって、多くの病院と協力して、事故にあった子が病院で治療するときの情報を蓄積します。。これまでに6000件以上データを集めることができました。公園ばかりではなく家のなかの事故も集めました。どういうところにけがをしているのか体の地図上にけがの情報を書き入れるソフトウエアをつくりました。するとけがが圧倒的に頭部に集中しており、なかでも左側の額にけがが多いことがわかりました。転倒、転落事故が多く、頭を打つ確率が高いようです。例えば、こどもは椅子やソファーで飛び跳ねて遊ぶことが多く、近くに机など角の鋭いものがあると落ちてけがをします。またソファーの背もたれ側から落ちて骨折をすることもあります。 
 家の中のどういうものにどういう危険があるか調べる指標として、けがをしてから完治するまでの治療費を試算しました。結果は椅子のけが 89000円、電気ポットの熱傷 79000円、味噌汁の熱傷 76000円、コーヒーの熱傷 55000円でした。転落と熱傷の治療費が高くかかっています。これは治療に要する通院回数が多くなるためです。お湯の温度を60度以下にするとずいぶん熱傷の危険性が減らせるデータが出ています。こどもがいる家では熱い味噌汁は食べないようにする。手の届かないところに置かないようにすることが重要になります。
 こどもが事故にあったら 親がちゃんと見ていなかったからだとよく言われます。また今までの事故予防の資料をみるととにかく「眼をはなさないでください」と書かれています。しかし24時間目を離さないでこどもを見ていることのできる保護者なんていません。そこで少しくらい眼を離しても危険な状態にならない安全な環境を作っていくことが事故予防につながります。危険を察知して知らせるセンサーの技術を開発して、例えばお風呂場に1歳くらいのこどもが来て 水遊びをし始めたらそれを教えてあげる(警報が鳴る アナウンスが流れる)。するとお母さんが急いで駆けつけて無事に保護できます。
 われわれの身の回りが計測の対象になって、具体的に数字とか映像で見せられるようになって、初めて科学的に扱えるようになってきます。これからは日常の科学技術が大きく発展し、安全まで高まってくることが期待ができます。
(10月11日のNHKラジオ夕刊、独立行政法人、産業技術総合研究所、デジタルヒューマン研究センター、人間構造理解チーム、チーム長の西田佳史さん「安全で楽しい遊具を作るために」より)

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2007年10月11日 (木)

日本の「食」の安全

 10月1日の日本経済新聞に日本の「食」の安全の記事がありました。そこには「日本は残りの物の市場。食のゴミ箱と呼ぶ人もいる」と書かれています。言っているのはASEANの食品加工会社の経営者です。彼は「日本人自身は誤解しているようだが、日本の安全基準は国際的にみて極めて甘い」と言います。この企業では厳格に検査した品を欧州連合(EU)と米国に回し、それ以外を日本に売ると言っています。食品の安全基準が厳しいのは日本ではなく、EUや米国です。特にEUは食品だけでなく、環境基準、工業規格、会計基準でも世界に強い影響力を与えています。ASEANの国々の輸出相手国は日本だけではありません。欧米にも輸出できるようにするために厳しいEUの基準を満たす努力をしています。ASEANに工場進出した日本の食品会社も、日本には輸出できても、EUの審査に合格できず欧米には輸出できないということもあるようです。ASEANの国々の政府もEUの指導で食品安全の国内法規を厳格化し始めています。日本の基準制度はアジアの国々には見向きもされないのが現実のようです。
 この記事が事実なら、国内事情しか知らない日本人は、いつのまにか世界の「残飯市場」で暮らすようになってしまいます。
ところで安全基準の設定と運用には難しい問題があります。基準に対する科学的な検証が十分にされているか。運用は厳格に行われているか常に検証されているかなど。この記事にはEUと日本の基準の違いの具体例は書かれていましたが、EUの基準設定と運用の詳細までは書かれてません。しかし欧州は日本と比べて情報公開は進んでいますから、その点からも日本のほうが問題ありそうです。

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